SIGNATURE 2019 11月号
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What’s new ? SpecialAKRISアクリスが今回のテーマとして選んだのがドイツの詩人・ゲーテが1810年に著した『色彩論』。仕立てが難しいダブルフェイス・カシミアに、さらに稀少なホースヘアを表面だけに埋め込むという高難度な技術に挑戦している。白と黒に映える原色の美しさを通して、200年前の著作に敬意を表している。 ダブルフェイス・カシミアは、アクリスのシグネチャーともいえる重要なファブリック。この秋冬コレクションでは、ファーストルックに今回のテーマであるゲーテの「色彩論」を象徴する作品として登場させていた。コートは背中央を白黒で切り替え、カラフルなホースヘア生地をダブルフェイスの表面だけにミニマルアートのようにパッチワーク。フロントはスナップクロージャー、ラップ風スカートにもテーマを統一、今季トレンドのセットアップとしてもコーディネートできるようアイテムを組み立てている。 パッチワークに使われたホースヘア生地は2010年にアクリスが初めて発表したハンドバッグ「アイ」で披露されたもので、原材料はモンゴル産のみを使用している。馬の尾から採取する毛は、馬の生涯で5~8回だけ。馬を傷つけることなく慎重に行われるアニマルフレンドリーな素材でもある。織り機は約200年前のものを使用、当時と同じ手法で織られていて、生地は一日に1メートルほどしか作れないという。軽やかなセットアップだが、稀少な素材と巧みなテクニックを要する贅沢な逸品だったのだ。写真・大志摩 徹 文・松尾千鶴子Photograph by Toru OSHIMAText by Chizuko MATSUO31コート600,000円、Tシャツ109,000円、スカート335,000円(すべて税抜)お問い合わせアクリス(アクリスジャパン)フリーダイヤル0120-801-922卓越の職人技が息づくモダンなセットアップ

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