クレジットカード決済で領収書は不要?収入印紙がいらない理由も解説
事業のために支出した費用の領収書は、経費計上の際に必要な書類です。また、自分が支払った消費税を売上などで受け取った消費税から差し引く仕入税額控除を行う場合にも重要な書類となります。
しかし、クレジットカードで決済した場合は、領収書が発行されないことも少なくありません。そのような場合はどうすればいいのでしょうか?
ここでは、クレジットカード決済における領収書の扱いについて解説。領収書と印紙税法、インボイス制度との関連についても解説します。
<目次>
クレジットカード決済では領収書は発行されない
クレジットカードで決済した場合、原則として領収書は発行されません。
領収書とは、確実にお金を受け取ったことを証明する書類であり、商品やサービスの代金を受け取った側が支払った側に渡す書類です。しかし、クレジットカード決済は、クレジットカード会社が代金を一時立て替える「信用取引」であり、商品・サービスの提供者は、決済をした人から代金を受け取っているわけではありません。実際にお金を受け取っていないのですから、商品・サービスの提供者が領収書を発行する必要はないのです。
領収書が必要な理由
そもそも、なぜ領収書が必要なのでしょうか。個人事業主にとって、領収書が必要な理由は2つあります。
1つは、事業で使用した経費を計上するためです。
実は、所得税や法人税では、領収書が経費計上の必要条件にはなっていません。しかし、領収書であれば確実に、その経費が実際に利用された証拠になります。
もう1つは、消費税を経費として、仕入税額控除を行うためです。
消費税を納める際の税額は、売上で受け取った消費税から、仕入などで購入した際に支払った消費税を引いて計算します。その際の、自分が支払った消費税のことを仕入税額控除といいます。消費税法では、「発行者」「宛名」「金額」「年月日」「購入内容」の5項目が記載されている領収書が、仕入税額控除の証拠書類として認められています(小売業、飲食店業、タクシーなどの旅客運送業、旅行業、駐車場業から受け取った領収書の場合、宛名の記載は省略可能)。
つまり、個人事業主にとって、領収書は経費計上の証拠や仕入税額控除の証拠書類にするための重要な書類ということです。
クレジットカード決済において領収書の代わりになるものは?
クレジットカード決済の際に発行されるのは領収書ではなく、利用明細書やレシート、請求書明細書といった書類です。それぞれの書類の特徴は次の通りです。
利用明細書(クレジットカード売上票など):領収書の代わりになる
利用明細書とは、店舗でクレジットカード決済を行った際にレシートといっしょに手渡される「クレジットカード売上票」「お客様控え」などと書かれた書類のことです。ネットショップを利用した場合は、商品といっしょに梱包されていることが多いですが、店舗のウェブサイトで閲覧やプリントアウトできる場合もあります。
利用明細書に、「発行者」「宛名」「金額」「年月日」「購入内容」の5項目が記載されているものであれば、消費税法上の領収書の代わりになります。なお、小売業、飲食店業、旅客運送業、旅行業、駐車場業から受け取った利用明細書の場合、宛名が省略されていても問題ありません。
レシート(購入明細):領収書の代わりになる
クレジットカード決済でも、ほとんどの場合、購入明細が書かれたレシートが発行されますのでもらうようにしましょう。購入明細であるレシートと利用明細書を1枚ずつもらえたり、両方を兼ねたものを1枚もらえたりと店舗などで異なります。
レシートも、「発行者」「宛名」「金額」「年月日」「購入内容」の5項目が記載されているものであれば、消費税法上の領収書の代わりになります。また、宛名の省略についても、小売業、飲食店業、旅客運送業、旅行業、駐車場業から受け取ったレシートであれば問題ありません。ほとんどのレシートには、宛名以外の項目が記載されていますので、これらの業種からの書類であれば、経費計上の証拠や仕入税額控除の証拠書類として提出可能です。
請求明細書(利用代金明細書など):領収書の代わりにはならないが証拠書類にはなる
請求明細書は、クレジットカード会社が毎月発行する、その月の引き落とし内容を記載した書類のことです。「利用代金明細書」や「ご利用明細書」と書かれている場合もありますので、店舗が発行する利用明細書とは異なります。
一般的には「利用年月日」「利用店名」「引き落とし金額」「引き落とし年月日」などが記載されています。請求明細書を紙ではなくウェブサイト上で閲覧している場合は一定期間で確認できなくなる場合がほとんどです。また、電子取引にあたるため、請求明細をダウンロードして保存する必要があります。
なお、請求明細書は、消費税法上の領収書にはあたりません。しかし、支払いを行った証拠にはなるため、経費計上の証拠書類として利用できます。
領収書をもらう場合は「クレジットカード決済」の記載があるか確認
クレジットカード決済では、商品・サービスの提供者に領収書を発行する必要はありませんが、店舗によってはサービスで発行してくれるところもあります。この際は必ず、領収書に「カード決済」や「クレジットカードによる支払い」など、クレジットカード決済であることが、明記されているか確認してください。確認が必要な理由は2つあります。
記載がないと収入印紙が必要になることもある
クレジットカード決済で発行された領収書は、たとえ表題が「領収書」となっていていても、印紙税法上の領収書にはあたらないため、収入印紙の貼付は不要です。しかし、発行された領収書に「クレジットカードで支払い」などの表記がない場合は、クレジットカード決済かどうかの判断ができません。そのため印紙税法上の領収書に該当し、金額が5万円以上の場合は収入印紙の貼付が必要になります。
もし、表記がない状態で必要な収入印紙が貼られていないと、税務調査で貼り忘れと判断され、過怠税というペナルティが課される可能性があります。しかも、過怠税は必要経費になりません。
記載がないと二重計上のミスが起きてしまうこともある
クレジットカードの支払いもすべて経費精算にしている場合、発行された領収書を通常の領収書として処理すると、二重計上になってしまいますので、これにも注意が必要です。領収書にクレジットカード決済であると明記されていれば、二重計上のミスも減らせるでしょう。
クレジットカード決済のレシートや領収書などの保管期間
経費で購入したもののレシートや利用明細書、納品書、領収書などは、法人税法や所得税法といった法律により、一定期間の保管が義務付けられています。これはクレジットカード決済時に受け取った書類でも同様です。
保管期間 |
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法人 |
その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間
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個人(青色申告) |
7年間
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個人(白色申告) |
5年間 |
インボイス制度導入で、クレジットカード決済の書類はどうなる?
消費税の納税額を計算する際に必要な仕入税額控除は、「発行者」「宛名」「金額」「年月日」「購入内容」の5項目が記載された利用明細書やレシートがあれば行うことができます。しかし、2023年10月1日に導入が予定されているインボイス制度が始まると、次のように変わります。
仕入税額控除を行うには、インボイスの発行を受ける必要がある
仕入税額控除を行うには従来の5項目に加え、適格請求書(インボイス)が必要です。インボイスには、代金決済を受けた事業者が発行する、インボイス制度の「登録番号」が記載されています。
インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者だけなので、取引相手が免税事業者であれば仕入額控除はできません。たとえば、免税事業者の営む飲食店で接待を行った場合、受け取るレシートなどの書類に登録番号がありませんから、支払った消費税分を、自分が納める消費税額から差し引くことはできなくなります。
例外ルールがなくなり、すべての場合でインボイスが必要になる
2022年現在の制度では、仕入税額控除を行うには原則として5項目が記載された利用明細書やレシートが必要ですが、例外として「クレジット決済額が3万円未満なら、領収書扱いの書類がなくても、帳簿の記載のみで仕入税額控除ができる」というルールがあります。しかし、インボイス導入後はこのルールはなくなり、すべてインボイスが必要になります。
事業費の決済におすすめのクレジットカード
ダイナースクラブ ビジネスカード/ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード(経費決済専用カード)
ビジネス用のクレジットカードを持ち、事業上の支払いはすべてそのカードで決済するようにしておけば、経費精算の手間を大幅に省けるメリットがあります。年会費は経費に計上できますし、カードに付帯保険やサービスも利用できるので、ビジネス専用カードを持っておくのはおすすめです。
出張時に便利な空港ラウンジサービス、接待や会食時に便利な対象レストランのコース料理が2名以上の利用で1名分無料になるサービス(6名以上の利用で2名分が無料になるグループプランもあり)など、ビジネスにも役立つ多彩なサービスを備え、保険なども充実したダイナースクラブから、個人事業主や中小企業の経営者にぴったりのビジネスカードを2種類、紹介しましょう。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴
ダイナースクラブ ビジネスカードを事業用専用カードにすることで、事業に関する支出をしっかり把握しながら経費管理の手間を省くことができるでしょう。
なお、ダイナースクラブ ビジネスカードには、主に次のような特徴があります。
・従業員を含めた経費の一元管理が可能
ダイナースクラブ ビジネスカードは、4枚まで無料で従業員カードの追加発行が可能(3枚目、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税別)のカード維持手数料がかかります)。従業員が18歳以上であれば発行できます。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。
・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる
ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数利用可能です。
例えば、会計ソフトとの連携、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。さらに、ゴルファー保険をはじめとしたゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなども利用できますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。
■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 | 27,500円(税込) |
---|---|
ポイント付与率 | 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
旅行傷害保険 | 最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
追加会員 | 年会費無料(追加カード発行は4枚まで)
※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込) |
ETCカード | ・基本会員は5枚まで発行可能
・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能 |
ポイント有効期限 | なし |
ショッピング保険 | 購入日より90日間、年間500万円まで |
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード(経費決済専用カード)の特徴
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを事業用と使い分けることで、経費処理の手間を大幅に軽減できます。
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。
・プライベート用と事業用に分けて支払口座の設定が可能
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と事業用に分けた経費の管理が容易になります。
・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出ですので経費として計上できます。年間手数料が所得税の節税につながるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。
・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでは、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスの利用が可能です。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。
■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年間手数料 |
5,500円(税込) |
---|---|
ポイント付与率 |
100円につき1ポイント
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旅行傷害保険 |
最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド |
ダイナースクラブ(Diners Club) |
ETCカード |
カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで |
ポイント有効期限 |
なし |
ショッピング保険 |
購入日より90日間、年間500万円まで |
事業用の経費はクレジットカードで決済しよう
クレジットカード決済では、原則として領収書は発行されず、レシートや利用明細書を受け取ることになります。しかし、レシートや利用明細書に「発行者」「宛名」「金額」「年月日」「購入内容」が記載されていれば、消費税法上の領収書として扱われますし、経費精算用の書類としても必要十分ですので、無理に領収書をもらう必要はありません。
ビジネス用のクレジットカードを持ち、事業上の支出はすべてそのカードで決済すれば、経費の手間を大幅に削減できる、カードに付帯する保険やサービスを利用できるなど、さまざまなメリットがあります。領収書が受け取れなくても経費の証拠になりますので、ぜひ、事業費のクレジットカード決済を始めてみてください。中でも、ダイナースクラブ ビジネスカードやダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを使えば、手間をかけずに経費の一元管理が可能です。さらに、JALオンラインのインターネット予約サービスやエグゼクティブ ダイニング、会計ソフトとの連携など、ビジネスに役立つ多くの特典が付いています。
ダイナースクラブは、1950年に米国・ニューヨークのレストランで生まれ、日本で最初のクレジットカードを発行した国際ブランド。安心して使えること、さまざまなサービスが支持されていることなどは、60年以上の歴史が証明しています。ビジネスに寄り添うダイナースクラブカードをぜひお手元に。
※本記事は、2022年12月現在の情報です。
※カード改定:2023年6月