Jumelles29(ジュメルニジュウク)
気軽な“バル”スタイルで味わう
本場仕込みのフレンチ
文・山下崇徳
写真・マツダナオキ
Text by Takanori Yamashita
Photographs by Naoki Matsuda
ビブグルマン選出の実力店
昼夜問わず賑わう四条通から細い麩屋町通を南へ。2、3分ほど歩けば、木の味わい深い看板を掲げた一軒の町家が現れます。やはり木のメニューボードには「鴨もも肉のコンフィ」「真鯖のマリネ」といった料理名が。
京料理のイメージが強い京都ですが、実はフレンチやイタリアン、中華などの名店が多い「新しもん好き」の土地柄でもあります。ここは舌の肥えた京都人が日常使いする店のひとつ、『ミシュランガイド』のビブグルマン(コストパフォーマンスの高いおすすめレストラン)にも選出されたフレンチバル『Jumelles29』です。
臨場感あふれるカウンター席
生成色の麻のれんをくぐると、1階には京町家特有の「鰻の寝床」を思わせる奥行きの長い空間に8席のカウンター席。傍らには2人掛けのテーブル2つのみ。「軽く一杯飲む感覚で立ち寄れる店を」というオーナーシェフ・村上章氏の思いから生まれた、カウンターを中心にした空間です。2階は、梁を残した天井の高い空間でテーブル席が並びます。
この店ではこのカウンター席に座るのがおすすめ。臨場感あふれる調理風景はもちろん、食材をカットする小気味いい音やじっくりとローストされる肉の香りが五感を刺激し、供される一品への期待が高まります。
経験から目指した“バル”スタイル
この店の魅力は、ビストロのような気軽な雰囲気の中で、ガストロノミーのような本格的なフレンチを肩ひじ張らず楽しめる、ここにしかない“バル”スタイル。村上氏の「高級料理と思われがちなフレンチだけれど、自分の好きなものだけを肩の力を抜いて楽しんでもらいたい」との考えから、料理はあえてコースは設けずアラカルトのみ。さっと手元にサーブされる料理は、気取らない店内の雰囲気からは意外とも思える本格的なものばかり。
それもそのはず、村上氏は、かつて滋賀と祇園で人気を博したフレンチレストラン『フィリップ・オブロン』で腕を磨いた実力の持ち主。滋賀店でカジュアルなビストロを、祇園店では本格フランス料理のガストロノミーという2つの異なるスタイルを経験、さらにその後、フランスへ渡り、南仏・ムージャンのミシュラン2つ星レストラン『ムーラン・ド・ムージャン』とリヨンの『ニコラ・ル・ベック』でも修業。一品一品の確かな味わいにはそうした経験が凝縮されていると言えます。
肉にこだわる60種のアラカルト
自慢のアラカルトは、20種類以上ある魚・肉料理をはじめ、前菜やおつまみ、パスタ、サラダ、デセールなど約60種がラインナップされています。自身が肉好きということもあり、なかでも力を注いでいるのが肉料理。
たとえば、多くのメニューに使われている宮崎産の尾崎牛は、「繊細ながら旨みが強い味。牧場まで足を運び、生育環境のよさを目で確かめ、メニューに取り入れることを決めました」と村上氏。ほかにも北海道産の斜里山麓豚や蝦夷鹿、岡山産の猪など全国各地から選りすぐった肉が登場します。店名の「29」もなんと「肉」への思いからとか。
店内のワインセラーには、フランス・イタリア産ワインが常時100種類以上そろい、グラスで楽しむこともできるので、料理に合わせて相性の良い1杯をチョイスすることも可能。シェフに聞けば料理に最適な銘柄を薦めてもらえたりも。自分好みの一皿とワインとのマリアージュを楽しみながら、古都でくつろぎの夜を満喫してみては。
ダイナースクラブ会員 限定特典
ダイナースクラブ会員様限定で、お店から「フランス バイヨンヌ産生ハム」900円(税別)をサービス。
- ※ご予約の際は、ダイナースクラブ ウェブサイトをご覧の旨、お伝えください。
- ※お支払いはダイナースクラブカードをご利用ください。
Jumelles29
京都市下京区綾小路通麩屋町下ル塩屋町81-1
営業時間 | 18:00~翌1:00 | |
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定休日 | 火曜 | |
お料理 | 前菜・おつまみ450円~ 肉料理700円~ 魚料理950円~(いずれも税別)など ※付き出し代200円 | |
お席 | カウンター席8席、テーブル席22席(1階4席、2階18席) |
*2016年10月3日公開の「京のグルマンが愛する店」の『三嶋亭』も併せてご覧ください。
2016.12.05