桜咲く春の京都で見つけた、大切な人に贈りたい手みやげ。料亭の筍、新感覚の和菓子、日本酒のショコラなど、厳選した6つの美味をご紹介。古都の春を感じさせる雅な贈りものを、旅の思い出とともに。
文・堂下まみ子、アリカ
写真・たや まりこ
Text by Mamiko Doshita, Arika Inc.
Photographs by Mariko Taya
だし香る朝堀り筍を、
家族と自宅で贅沢に
筍料理 うお嘉 「筍の鏡煮」
日本有数のたけのこの産地として知られる京都・西山地域。豊富なミネラルに恵まれた水はけの良い土壌で、養分の豊富な土と藁を盛る独特の栽培法「土もち」で育つ筍は、濃厚な甘みとやわらかさを併せ持つ。その京都・西山の筍尽くしの懐石で知られる、1872年(明治5年)創業の老舗料亭『筍料理 うお嘉』の看板料理が「鏡煮」。新鮮な朝堀り筍を湯がき、鰹と北海道産昆布が香るだしをじっくり染み込ませた一品だ。大ぶりなものだけを使うにもかかわらずえぐみがなく、箸で切れるほどやわらか。京都の筍だからこそ可能な、贅沢な味わい方だ。
舞妓が持つ手鏡と見紛うほどの美しさから名付いたこの品は、桜の蕾が膨らむ頃からひと月ほどで、束の間の旬が終わる。春の間に、ぜひ味わっておきたい。
お世話になった人に贈りたい、祇園料亭の春の美味
祇園 末友
「花山椒・和牛しゃぶしゃぶセット」
京料理に爽快な風味を添える香辛料・山椒。あまり知られていないがその花も、4~5月にかけて約3週間ほどの間だけ味わえる食材として、旬を慈しむ京の人々に愛されてきた。
祇園の南側、建仁寺南門前に佇む料亭「祇園 末友」の春の楽しみの一つが、そんな花山椒を脂ののった和牛に添えたしゃぶしゃぶだ。旨みの詰まった霜降りの牛肉で花山椒をくるりと巻いて、一口。肉の上品な甘みと花山椒の清々しい風味が、互いを絶妙に引き立て合う。店で供される時と同じように、地下40メートルから汲み上げる“八坂の水”を使って昆布の旨みを丁寧に引き出しただしや、つけダレもセットで。感謝を伝えたいあの人に、家庭で料亭の味を楽しむ贅沢なひとときを。
大切な人の笑顔を咲かせる、愛らしい八ッ橋
nikiniki(ニキニキ)
「季節の生菓子」
京土産の定番といえば八ッ橋。もとは元禄期に作られ、米粉・砂糖・ニッキを混ぜた生地を焼き上げた干菓子だった。昭和に入ると蒸した生地を焼かずに餡を包んだ生八ッ橋が登場し、人気を博した。京都では組合があるほど、いくつもの店が味を競っている。
2011年、そんな定番の菓子に新風を吹き込んだのが、老舗の一つ「聖護院八ッ橋総本店」。「nikiniki」という新ブランドを立ち上げ、立体的で色彩豊かな生八ッ橋を生み出した。中でも愛らしさが際立つのは、四季の移ろいとともに替わる季節のモチーフをポップに表現した「季節の生菓子」だ。春は桜や蝶があしらわれ、手に取る人をうららかな気分にさせてくれる。箱を開けた瞬間の「かわいい!」が聞きたい大切な人への贈り物に。
仕事仲間には、気負わないモダンな和ロールを
IRODORI 「つばら」
1803年(享和3年)の創業から、宮内庁や茶道家元に菓子を納めてきた老舗『鶴屋吉信』。その新店舗『IRODORI』には、従来の「和菓子」のイメージを覆す、現代的なデザイン感覚溢れる菓子が並ぶ。
半月型の焼き皮に小倉餡を挟んだ『鶴屋吉信』の銘菓「つばらつばら」をアレンジした「つばら」は、同じ皮でつぶ餡・抹茶餡・季節替わりの餡の3種を巻いた焼き菓子。餡の個性と餅粉入り生地のもっちりとした食感の見事な相性と、手軽につまめるスマートなフォルムが秀逸だ。3月はよもぎ餡が登場する。
日本の伝統色で朝日から夜空までを表したパッケージも、贈る相手をときめかせるだろう。古今の文化が溶け合う京都で感じた旅情緒を、洗練されたデザインに老舗の味を兼ね備えた和菓子に託してみたい。
本物志向の“大人”も喜ぶ、清酒香るショコラ
ショコラ ベル アメール 京都別邸
「瑞穂のしずく 京都日本酒 」
アート作品のような華やかなショコラの数々がハイセンスな人々の心を掴む「ショコラ ベル アメール」。その一粒一粒は、温度や湿度が徹底管理されたアトリエで職人技によって手作りされる。京町家を改装した「京都別邸」には古都ならではの風情と素材を生かした限定品も並び、各地のショコラ好きを惹き付けている。
その限定品の一つ「瑞穂のしずく」は、日本三大酒処に数えられる京都・伏見の「山本本家」「都鶴酒造」など由緒ある5蔵が、京都産の酒米「祝」で醸した「神聖」や「都鶴」といった銘酒を厳選。透き通ったジュレに仕立て、枡に見立てたショコラに流し込んだ。ジュエリーのような輝きと、ミルク・ビター・ホワイトの3種のショコラと芳醇な日本酒の見事なマリアージュに、酒好きも思わず唸りそうだ。
京の名店も選ぶ老舗の玉露を、オフィスでも
一保堂茶舗
「玉露 滴露 三角茶袋(缶箱)」
1717年(享保2年)創業の日本茶老舗「一保堂茶舗」。京都を旅すれば、名だたる料亭や甘味処で同店のお茶にしばしば出合う。そんな名店が、急須がないと淹れられないとされるリーフのお茶を、急須なしでもおいしく楽しめるようにと考案したのが、オリジナルの三角錐形のティーバッグ。茶畑で日光を遮って育てられた茶葉が蓄えた旨みや甘みを堪能できる「玉露」も、ティーバッグなら気軽に楽しめる。大きめのマグカップなどに1袋入れてお湯を注げば茶葉がほどけ、葉のおいしさがしっかりと溶け出す。凝縮されたまろやかな甘みが舌に残す余韻を楽しみたい。忙しいときも、手間をかけずにほっと一息。そんな京の銘茶でティータイムを。
筍料理 うお嘉
京都市西京区大原野上里北ノ町1262
営業時間 | : | 11:30~16:00 17:00~22:00 |
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定休日 | : | 不定休 |
祇園 末友
京都市東山区大和大路四条下ル四丁目小松町151-73
営業時間 | : | 12:00~13:30(L.O.) 17:00~20:30(L.O.) |
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定休日 | : | 不定休 |
nikiniki
京都市下京区四条西木屋町北西角
営業時間 | : | 10:30~19:00 |
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定休日 | : | 不定休 |
IRODORI
京都市下京区東塩小路町8-3
JR京都駅八条口1F アスティロード内
営業時間 | : | 9:00~21:00(ショップ) ※カフェ9:00~20:30(L.O.20:00) |
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定休日 | : | 無休 |
075-574-7627
ショコラ ベル アメール 京都別邸
京都市中京区三条通堺町東入ル桝屋町66
営業時間 | : | 10:00~20:00 |
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定休日 | : | 不定休 |
一保堂茶舗
京都市中京区寺町通二条上ル
営業時間 | : | 9:00~18:00 |
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定休日 | : | 無休 |
鶴屋吉信本店
京都市上京区今出川通堀川西入
営業時間 | : | 9:00~18:00 | |
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定休日 | : | 年中無休(元日を除く)
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075-441-0105
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2017.03.22