親子で考えるSDGs ~海の豊かさを守ろう~
帆船「みらいへ」で感じる、海洋環境問題

開催日:2022年9月4日(日)

ダイナースクラブ会員限定の、親子で海洋環境問題について考えるイベントを開催しました。

イベントレポート

■帆船「みらいへ」にいざ乗船!

イベントには12組の親子が参加しました。横浜港のぷかり桟橋に集合し、10時に乗船。小原船長から乗船中の注意事項を伺った後、出航のドラを鳴らしていよいよ出発です。台風が沖縄に接近し波が高まるのでは、と心配されましたが、曇天が急速に晴れてきて、メインデッキは遮るもののない日差しで眩しいほど。
帆船「みらいへ」は、1992年に14億円をかけて建造された、現在日本で一般の人が乗船できる唯一の帆船です。230トン、全長×幅は52.16m(171フィート、バウスプリット含む)×8.60m。マストの高さは約30m。横帆3枚と縦帆10枚を備えた旅客船です。セイルトレーニングなどの教育プログラムを通じて人材育成に取り組んでおり、今回の乗船イベントも子どもたちに世界の海が直面する問題を実感し、課題認識してもらうことが主な目的です。

とはいえ、ほとんどが小学生の乗組員。難しいお話ばかりでは集中力が継続しません。そこで「みらいへ」のイベントでは展帆(帆を張る)をはじめとするアクティビティも十分に用意しました。
「ツー・シックス・ヒーブ!」「ホールアウェイ!」「ホールドオン!」
世界共通の掛け声に合わせてロープを引っ張ると、徐々に帆が広がっていき、「みらいへ」の動力である風を受けるための帆が張られました。

■マイクロプラスチックと海洋環境問題を知る

ベイブリッジをくぐり、八景島方面に向かいます。途中、海上自衛隊の潜水艦に歓声をあげながら、「みらいへ」が外海に出たところで、海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋生物環境影響研究センターの藤倉克則センター長による「海のプラスチック」をテーマにしたセミナーが始まりました。
JAMSTECは国立研究開発法人で、しんかい6500等の潜水船等々で海洋、大陸棚、深海や気候変動や地震などに関する研究を行う日本最高峰の研究機関の一つ。今回の企画の共催者である日本パラオ青少年セーリングクラブの前身となる団体と2019-2020 日本−パラオ親善ヨットレースで南洋の楽園パラオまでの1,726マイル(3,197km)の海域のマイクロプラスチック調査を共同で実施し、次回は2024年のヨットによる日本パラオマイクロプラスチック拡散分布調査航海を予定しています。

参加者は甲板に車座となり、藤倉センター長の講義を傾聴。そもそもプラスチックとは?から、現在の生活には欠かせないものになっていること、一方でこのままどんどんプラスチックが増え続けると海洋生物や人への悪影響が大きくなると予測されていること、たとえば海に流れ出たプラスチックを取り去るのはとても難しく、とくに5mm未満のマイクロプラスチックは回収することは無理といわざるを得ないことを、分かりやすい言葉で説明していただきました。

■お弁当もエコロジー

座学が終了したところで、お昼ごはんで一休み。お弁当は廃棄するものをいっさい出さないエコ弁当を用意しました。野菜の切れ端や芯、皮、茎は刻んで煮出してミートボールの隠し味に。

■海に漂うマイクロプラスチックを採取

午後のメインイベントは、実際にマイクロプラスチックを採取して、観察する体験学習です。プランクトンなどの研究素材を採取する袋型の網を海に投入、15分ほど流してサンプルを採取します。
引き上げると、アマモなどの海藻や小魚と一緒にさっそくプラスチックごみが。さらにトレーからシャーレに移して目を凝らしてみると、5ミリ未満のプラスチック片=マイクロプラスチックがいくつも発見できました。黙々とピンセットで選り分けている子どもたちがいる一方で、小魚を解剖する強者も登場。内臓を開いてそこにもマイクロプラスチックを見つけ、驚きの声があがりました。
こういう得がたい体験が、子どもたちに地球と海と人間の未来を考えてもらうきっかけになるはずです。付き添う大人たちのそんな願いも感じ取れた体験学習でした。

■海と帆船に親しむアクティビティに歓声があがる

元気いっぱいの子どもたちには、海と帆船に親しむアクティビティにも挑戦してもらいました。「みらいへ」の航海先であるパラオ諸島で船員の皆さんが拾ってきたヤシの実とデッキブラシを使ったミニゲームや、二枚貝の貝殻にマイクロプラスチック、小さなタカラガイやサンゴのかけらを載せて速乾接着剤(UVレジン液)で固めて作るストラップ作りなどを楽しんでもらいました、人気を集めたのは、船長気分を体験する操舵体験とバウスプリット渡り体験。
バウスプリット渡りとは、帆船の船首から前方へ伸びているバウスプリットの先端まで歩いて行き、戻ってくるというもの。足場となるネットの下は海。子どもたちは身軽にバウスプリットをよじ登って乗り越えていましたが、大人たちは意外と苦戦し、そこここで笑い声があがりました。

■帆船「みらいへ」のイベントが伝えること

今回の「みらいへ」乗船イベントでは、子どもたちの感性を刺激する学びの場を用意すれば、最初は面白さや珍しさが勝っても、だんだんと大人や社会が伝えたいことを子どもは理解してくれると実感しました。海洋環境問題は自分のすぐそばの問題なんだ、ボクらも何かを始めなくちゃいけないんだ――そう思ってくれたに違いありません。(担当:山)

開催概要

開催日時

2022年9月4日(日)※本イベントは終了しました。
参加費 10,000円/人
定員

40名(先着)

イベントの詳細概要および、本イベントの共同主催団体や後援団体の情報は下記リンクよりご覧ください。

https://www.diners.co.jp/ja/event/evt_miraie.html

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ダイナースクラブ会員限定の、親子で海洋環境問題について考えるイベントを開催しました。