『ガスライトEVE』ふっと肩の力を抜いてくつろげる
女性バーテンダーだけのバー

文・福田素子　写真・岡田敦

銀座にバー多しといえども、バーテンダーがすべて女性という店はこれまでなかっただろう。

　数々のカクテルコンペティションでチャンピオンを輩出してきた名門『ガスライト』の4店舗目として、2015年11月22日にオープンした『ガスライトEVE』。

「男性のお客様にももちろんお越しいただきたいのですが、女性はなかなかバーに入りにくいですよね。女性が気軽に入れるような、そして女性の味方になれるようなバーにしたいんです」。店長の高橋直美さんはそう話す。ゆったりとしたローカウンターの向こうで極上の一杯を供するバーテンダーは、高橋さんをはじめ、すべて女性だ。

　高橋さんは、『パレスホテル東京』のバーや『ガスライト霞ヶ関本店』などで腕を磨き、2013年には日本人女性バーテンダー初の世界チャンピオンに輝いた。「ここから、もっともっと女性バーテンダーを輩出していくことも目標です」と世界の頂に立った者の使命感ものぞかせる。

『ガスライト』のシグニチャーカクテルであるマティーニはもちろん、高橋さんが世界大会で優勝した作品「ウィステリア～歓迎～」や、日本大会の優勝作品「パローネ～気球～」などのオリジナルカクテルは味わうべき逸品。そして、この店ならではの醍醐味は、高橋さんの想いが隅々にまで貫かれたメニューの数々にもある。

「郷土愛がものすごく強いんです」と笑う高橋さんは、最上の食材を求めてしばしば郷里の高知へ足を運ぶという。ぶんたんやすだち、市場には出回らない国産グレープフルーツ、名物のカツオや地鶏……。新鮮で魅惑的な素材がカクテルやフードに盛り込まれ、この店を唯一無二のバーにしている。「高知は食材の宝庫。あとね、高知の人はフレンドリーなんですよ。一緒に飲んでいれば、知らない人でも昔から知っていたんじゃないかなと思うような雰囲気になるんです」

ゆったりとしたカウンター席のほか、ソファでくつろげる半個室も。銀座の街並みを望む大きな窓も配され、店内はシックでありながら心地よい開放感にあふれる。