ギンザ八丁 たてよこ散歩 ギンザ八丁 たてよこ散歩

Vol.1

いまふたたびの銀座神社めぐり

銀座には意外にも数多くの神社があります。
そのご利益は1社ごとに違っていて、何社か参拝すると、
いろんなパワーをいただいた気分にもなります。
路地や百貨店の屋上など、神社が思わぬところにあるのも銀座ならでは。
テーマのある銀座街歩きシリーズ1回目は、
繰り返しても不思議と飽きない、銀座の神社めぐりです。

文・山口正介 写真・長坂芳樹、佐藤佳穂

Text by Syosuke Yamaguchi 
Photographs by Yoshiki Nagasaka, Kaho Sato

このところ、銀座は大規模店舗が次々と新築され、その街並みを大きく変えようとしているのは、ご存じの通り。しかし、ここは銀座、江戸時代からの古い歴史が今も息づく街でもあるのだ。その歴史を象徴するものが、ビルの屋上に、あるいはその狭間に、ひっそりとたたずむ神社、お稲荷さんの社だ。

 「銀座にも、こんなパワースポットが!」という惹句で毎年、そんな銀座の神社をめぐる企画もあると聞く。

 銀座1丁目の守護神は「幸(さいわい)稲荷神社」。かつては刀の市がたったことから太刀売稲荷ともいわれている。縁結びの神様でもある。

 続いて、「銀座稲荷神社」は火防・盗難除・商売繁盛のお稲荷さん。普段はビルの屋上に鎮座しているので、銀座の秋の一大イベントである「オータムギンザ」の期間中のみ参拝が可能となっている。

 『松屋銀座』屋上の「龍光不動尊」は“龍光(りゅうこう)”が“流行”でファッション関係の運気に効果あり。商売繁盛、家内安全の「朝日稲荷神社」は創建年代不詳というから凄い。なんだかご利益がありそうです。

 『銀座三越』屋上の「銀座出世地蔵尊」。ご利益は「祈願して成就せざるはなし」とさすがに豪華。境内には「三囲神社」も祀られている。 

路地裏に鎮座する「宝童(ほうどう)稲荷神社」は、江戸時代に名主、弥左衛門が子育て祈願で建立したといわれ、縁結びや子育てにご利益あり。なかなかの雰囲気ですね。

 戦後、あづま通り付近で火災が多発。火伏せ・盗難除けの神としたのが「あづま稲荷神社」である。そして、根岸にあって関東大震災や日暮里大火から町を守ったという「靍護(かくご)稲荷神社」は、昭和4年、日枝神社宮司により『銀座松坂屋』屋上に遷座したという歴史を持つ(今はビル建て替えのため、お休み中)。

 最後となった「豊岩稲荷神社」は、すずらん通りの、うっかりと迷い込むと出られなくなるような狭い路地の奥にあり、それゆえ物静かなたたずまいだ。火伏せの神、縁結びの神だという。

 今回は駆け足でめぐってしまったが、いずれまた、周りの街並みもふくめて紹介したいと思う。すべて廻れば家内安全、大願成就、商売繁盛には充分となるでしょう。

  • 今回巡った神社を紹介します

幸稲荷神社(1丁目)
まずは銀座1丁目の護り神へ参拝。
「あれれ、前に来たときとずいぶん雰囲気が違うな?」と、やや戸惑う。あとで聞いたら、2年前に再建されたとのこと。

龍光不動尊(3丁目)
「清らかな風がとおる、ビルの屋上のパワースポット」というのは筆者の感想。
朝日稲荷神社(3丁目)
古来、銀座に鎮座し、守護神として祀られてきた稲荷神社。
銀座出世地蔵尊(4丁目)
ご利益は「祈願して成就せざるはなし」。
宝童稲荷神社(4丁目)
筆者によれば「銀座の路地裏のたたずまいと絶妙にマッチしている」らしい。
あづま稲荷神社(5丁目)
あづま通りから三原小路への入り口にあって、こちらもなかなかの風情。
豊岩稲荷神社(7丁目)
多くの女性が立ち寄るのもうなずける、小ぢんまりとしたお洒落な稲荷神社。

[著者プロフィール]
やまぐち・しょうすけ

作家。映画評論家。1950年、作家・山口瞳の長男として生まれる。桐朋学園芸術科演劇コース卒業。劇団の舞台演出を経て、小説、エッセイなどの文筆の分野に転身。銀座の散歩はヤマハのサクソフォン教室、映画の試写などに通っているうちに「ほぼ日課」となる。主な著書に『正太郎の粋 瞳の洒脱』『山口瞳の行きつけの店』『江分利満家の崩壊』などがある。

2016.11.28

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