音楽アウトリーチ活動の実施報告
2019年

音楽アウトリーチ活動の様子をレポートいたします。

2019年1月~12月

サクソフォーンによるコンサート&ワークショップ
2019年1月23日 郡山市立富田中学校、郡山市中央公民館

サクソフォーンによるコンサート&ワークショップ 2019年1月23日 郡山市立富田中学校、郡山市中央公民館

東日本大震災で被災し、この地域に移り住んだ家庭の子どもが多く通う郡山市立富田中学校において、全校生徒を対象に、サックス界の若きリーダー・上野耕平さんがアウトリーチコンサートを実施した。前のステージで演奏するばかりでなく、生徒の中に入って行って、生の響きを体感させるパフォーマンスに会場全体が酔いしれた。
中央公民館では、上野さんのサックス指導を希望する生徒が集合し、楽しいワークショップを経験した。クラシック・サックスの素晴らしさをより多くの人たちに伝えたいという上野さんの熱い思いがこもったワークショップとなった。

津軽三味線によるワークショップ&コンサート
2019年1月28日、29日 高松市立牟礼南小学校、香川県立高松北中学高等学校、徳島県美馬市立三島小学校 ほか

津軽三味線の山下靖喬さんは、東京藝術大学に入学する前、17歳の時に日本一に輝いている。その当時の史上最年少記録はまだ破られていない。その山下靖喬さんが一人で、香川県と徳島両県にわたるアウトリーチを展開。学校間の送迎は、行政や各学校の協力を得て最短の時間で行うことができた。地方でのアウトリーチには、地域の協力が不可欠である。そうした地域や学校の期待を裏切らない素晴らしいパフォーマンスを山下さんが実践してくれた。
高松市の学校では、コンサートに加えて、三味線の指導とワークショップも行った。徳島県の三島小学校では、全校児童対象にパフォーマンスを披露するとともに、地域からの要請に応え、近隣のお寺の本堂において、伝統芸能の太鼓に取り組む児童と共演した。

津軽三味線によるワークショップ&コンサート 2019年1月28日、29日 高松市立牟礼南小学校、香川県立高松北中学高等学校、徳島県美馬市立三島小学校 ほか
津軽三味線によるワークショップ&コンサート 2019年1月28日、29日 高松市立牟礼南小学校、香川県立高松北中学高等学校、徳島県美馬市立三島小学校 ほか

和楽器によるコンサート&ワークショップ
2019年2月1日 葛飾区立中之台小学校

和楽器によるコンサート&ワークショップ 2019年2月1日 葛飾区立中之台小学校

中之台小学校は、音楽づくりの指導に力を入れている学校で、即興的な音楽活動を積極的に授業に取り入れている。そのような子どもたちを対象に、津軽三味線の山下靖喬さんと邦楽囃子の石森裕也さんが、即興的なコンサート&ワークショップを行った。
津軽じょんから節などの名曲をはじめ、彼ら二人のオリジナル曲は、そのほとんどが即興的な表現から構成されている。その超絶技巧の圧倒的な凄さ、即興的なコミュニケーションの楽しさを子どもたちは存分に味わうことができた。

弦楽器とピアノによるアウトリーチコンサート
2019年2月15日、16日 宮城県立金成支援学校(栗原市)、特別養護老人ホーム抱優館八乙女(仙台市)

弦楽器とピアノによるアウトリーチコンサート 2019年2月15日、16日 宮城県立金成支援学校(栗原市)特別養護老人ホーム抱優館八乙女(仙台市)

宮城県栗原市にある金成支援学校は、児童生徒一人一人の障がいや特性、発達段階に応じた教育活動に精励している学校である。
今回弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ)の奏者として参加した市川友佳子さんは、東京藝術大学大学院において特別支援学校でのアウトリーチを専門的に研究した実績を持つアーティストである。ピアニストの御法川恵里奈さんと息の合ったアンサンブルを披露してくれた。
市川さんによると、障がいの程度にもよるが、高音域のヴァイオリンの音よりも、むしろ中音域のヴィオラの音色の方が、子どもたちは親しみやすいのではないかとのこと。
癒し系と言えるような翌日の仙台市の特別養護老人ホームでのコンサートでは、豊かな音色が際立つプログラムが組まれ、多数の高齢者が弦楽器とピアノの音色に癒された。

打楽器によるコンサート&ワークショップ
2019年2月26日 千葉県鴨川市立東条小学校

打楽器によるコンサート&ワークショップ 2019年2月26日 千葉県鴨川市立東条小学校

東京藝術大学の大学院を修了した永野雅春さんと井上仁美さんの二人が鴨川市の東条小学校に出向き、打楽器を用いたコンサート&ワークショップを展開した。
スネアドラムだけを用いた超絶技巧のパフォーマンスなどに驚いた子どもたちは、学校にある様々な打楽器が彼らの手にかかれば想像もつかない音色を出すことを知って、さらに感動を深めていた。
学校で使われている打楽器を使用できる打楽器アウトリーチは、大きな教育可能性を持っている。

尺八によるレクチャー&ワークショップ
2019年3月6日 横浜市立さわの里小学校、横浜国立大学附属中学校

尺八によるレクチャー&ワークショップ 2019年3月6日 横浜市立さわの里小学校、横浜国立大学附属中学校

日本を代表する尺八奏者、藤原道山さんについては今更説明の必要もないだろう。
さまざまなジャンル、アーティストとのコラボレーションを行いつつ、邦楽の教育・普及活動などにも意欲的に関わっているアーティストである。
アウトリーチに関しても、超多忙な中にもかかわらず、時間さえ合えば、全国各地の学校や教員研修の場などに積極的に出向いてくれている。
今回もさわの里小学校の児童対象にレクチャーコンサートを実施。取って返して横浜国大附属中の生徒対象に、尺八体験コーナーを含むワークショップを展開した。
道山さんから直接指導を受け、本物の尺八の響き、音色の多様性を実体験できた子どもたちは幸せである。

サクソフォーンによるワークショップ&コンサート
2019年5月18日 宮城県栗原市くりでんミュージアム、若柳文化センター

コンサートにテレビ出演、演奏録音など超売れっ子となった上野耕平さんにアウトリーチに来てもらうのは、スケジュール的に大変難しくなっている。
今回は、鉄道大好きの上野さんが、実際に使われていた電車を運転できる「くりでんミュージアム」での開催ということもあって、スケジュールを調整してくれた結果、実現の運びとなった。電車の中でのコンサートは、定員オーバーの聴衆が集まり、熱気あふれるものとなった。
若柳文化センターには、高校生を中心とした吹奏楽メンバーが集合。管楽器の呼吸法などの基礎・基本から始まり、最後は、定期演奏会を間近に控えた高校生たちへのバンド指導まで、いつもにも増してエネルギッシュなワークショップが展開された。

サクソフォーンによるワークショップ&コンサート 2019年5月18日 宮城県栗原市くりでんミュージアム、若柳文化センター
サクソフォーンによるワークショップ&コンサート 2019年5月18日 宮城県栗原市くりでんミュージアム、若柳文化センター

口笛、打楽器、ピアノによるコンサート
2019年7月16日 府中市立第九小学校

口笛世界一の青柳呂武さん(東京藝術大学大学院)が、打楽器の沓名大地さん、ピアノの追川礼章さんとともに、出身校である府中九小でアウトリーチを行った。
音楽専科の青嶋美保教諭が質の高い学習指導を展開している府中九小の子どもたちは、音楽への興味・関心が高く、反応も素晴らしい。
「楽器」としての口笛の素晴らしさを伝えたいという強い思いを持つ青柳さんは、口笛のよさを生かした曲を選択し、共演の沓名さん、追川さんとのアンサンブルが、子どもたちに新鮮な驚きと感動を与えた。

邦楽に関するレクチャー、尺八によるワークショップ&コンサート
2019年7月30日、31日 阿南市コスモホール、徳島市シビックホール

邦楽に関するレクチャー、尺八によるワークショップ&コンサート 2019年7月30日、31日 阿南市コスモホール、徳島市シビックホール

数年先までスケジュールが入っている藤原道山さんが、今年2回目のアウトリーチとなる。奇跡的なことである。
30日は、徳島県の音楽科教員研修とタイアップし、藤原道山さんが教員を対象に、邦楽に関するレクチャーと尺八体験のワークショップを行った。
西洋音楽と同じ基準で日本音楽を捉えないよう警鐘を鳴らす道山さん。実際の演奏も交え、音色の多様さ、豊かさなど日本音楽の特性を体感、理解しやすく工夫されたレクチャーは、実に説得力のあるものとなった。
翌日午前は、徳島駅近くのシビックホールにおいて、子ども対象の尺八体験コーナーを含むワークショップ&コンサートを行い、初めて尺八の生演奏に触れる子どもや保護者、邦楽愛好家の市民らが道山さんの演奏とトークに魅了された。

声楽コンサートと合唱指導
2019年9月6日 宮城県栗原市立築館小学校、志波姫小学校

宮城県の音楽教育研究会が栗原市において開催され、テノールの大平倍大さんは、築館小学校において声楽コンサート(日本のうたとカンツォーネ中心)と合唱指導のワークショップ(教員対象)を実施した。さらに、栗原市立志波姫小学校の有志児童による合唱団を対象に、発声の基本や日本語の発語の仕方、なめらかなフレージングづくりのための秘訣などについてレクチャーを行った。
児童の飲み込みの早さに、指導の大平倍大さんも参観の先生方も驚いていた。やはり目の前で本物の歌手が歌い、その響きを体感できたことが大きいと思われる。

邦楽コンサート
2019年9月7日 清瀬市旧森田住宅

邦楽コンサート 2019年9月7日 清瀬市旧森田住宅

尺八演奏家の長谷川将山さんとお箏の上田麻里名さんによるコンサートが、清瀬市の旧森田住宅で開催された。毎年、東京藝大関係の演奏家がアウトリーチを行っている場である。
今回は、藝大を卒業・修了したばかりの若手二人が、なじみ深い曲から古典、現代曲に至るまで幅広いレパートリーを披露した。
日本の伝統邦楽=高齢者の音楽?といったイメージを払しょくするためにも、新しい感覚を持つ若い邦楽アーティストがアウトリーチに出向くことは大きな意義がある。

ヴァイオリンとピアノによる音楽アウトリーチ
2019年9月12日 埼玉県立熊谷高等学校

ヴァイオリンとピアノによる音楽アウトリーチ 2019年9月12日 埼玉県立熊谷高等学校

ヴァイオリン奏者の成田仁美さんとピアノの泉碧衣さんが、熊谷高校において音楽鑑賞教室を実施した。
《愛の挨拶》や《ツィガーヌ》などの曲を、あらかじめ曲の内容に関わる情報を与えたクラスと、情報を一切与えないで聴いてもらうクラスを比較するなど、いろいろな聴かせ方を試みたアウトリーチで、これからの音楽鑑賞教室の在り方や方向性を考えて行く上で、貴重な情報を提供してくれる実践となった。
日頃の音楽授業において充実した鑑賞活動を経験している熊高の生徒たちは、生演奏に対するコメントの内容も言語能力の高さを示すものであった。

園児が素晴らしい音・音楽に出会うアウトリーチ
2019年10月7日 学校法人町山学園まどか幼稚園(葛飾区)

園児が素晴らしい音・音楽に出会うアウトリーチ 2019年10月7日 学校法人町山学園まどか幼稚園(葛飾区)

今回の「子どもたちが本物の素晴らしい音・音楽に出会う!」という企画に、4人のトップアーティストが応えてくれた。
津軽三味線の山下靖喬さん、ヴァイオリンの岸本萌乃加さん、メゾソプラノの石田滉さん、ピアノの前田拓郎さんである。
会場は、学校法人町山学園まどか幼稚園(東京都葛飾区)。園内の吹き抜けのホールに、117人の年中児(4、5歳児)が集まった。
トップバッターは、津軽三味線の山下靖喬さん。
園児たちの度肝を抜くような《津軽あいや節》や十八番の《津軽じょんがら節》を披露。その音の迫力に、子どもからは、「お~!」と驚きの声があがる。
山下さんの演奏と巧みなトークに子どもたちは酔いしれた。

園児が素晴らしい音・音楽に出会うアウトリーチ 2019年10月7日 学校法人町山学園まどか幼稚園(葛飾区)

次は、ヴァイオリンの岸本萌乃加さんのコーナー。
ピアニスト前田さんとの共演で、《愛の挨拶》や《美しきロスマリン》を演奏し出すと、中には岸本さんの手の動きを真似ながら聴いている子も。
最後の《剣の舞》では、超絶技巧が駆使される迫力の演奏に圧倒される。聴くだけでなく、見ても楽しめるところは、生演奏のアウトリーチの醍醐味である。

園児が素晴らしい音・音楽に出会うアウトリーチ 2019年10月7日 学校法人町山学園まどか幼稚園(葛飾区)

ピアニスト前田さんが、ソロで選んだ曲は、ショパンの《小犬のワルツ》と《幻想即興曲》。
小犬の情景を思い浮かべるような説明、右手の早い動きやペダルの足の動きにも注目してほしいとのアドバイスによって、子どもたちはますます音楽の世界に集中する。

園児が素晴らしい音・音楽に出会うアウトリーチ 2019年10月7日 学校法人町山学園まどか幼稚園(葛飾区)

メゾソプラノの石田滉さんは、子どもたちに季節感を感じてもらうために、《もみじ》《まっかな秋》といった「日本のうた」からスタート。
サティの《ジュ・トゥ・ヴー》に続き、ミュージカルの《踊り明かそう》では、オペラ歌手らしく身振りを効果的に用い、フロアの子どもたちに接近して歌い掛けるなど、空間を見事に活用したステージとなった。

園児が素晴らしい音・音楽に出会うアウトリーチ 2019年10月7日 学校法人町山学園まどか幼稚園(葛飾区)

コンサートのフィナーレは、園児全員と演奏家たちによる《どんぐりころころ》。4人の演奏者とともに、117名の年中児が、心温まる《どんぐりころころ》を披露してくれた。
約45分間のコンサートだったが、年中児にとって普通は集中力の限界を超えている時間。それが、ほとんどの子どもが集中して最後まで聴き入っていたことを町山太郎園長も驚いていた。もちろん、こうした素晴らしい聴き方ができたのは、園での日常の学びや遊びが充実しているからである。

津軽三味線によるコンサート&ワークショップ
2019年11月18日~22日 北秋田市立鷹巣中央小学校、北秋田市立前田小学校、北海道東川町立東川小学校、札幌市立栄西小学校

津軽三味線によるコンサート&ワークショップ 2019年11月18日~22日 北秋田市立鷹巣中央小学校、北秋田市立前田小学校、北海道東川町立東川小学校、札幌市立栄西小学校

北秋田で2校の公演、続いて旭川近郊の東川小学校、最後が札幌の栄西小学校での公演というハードなスケジュール。どの学校でも、熱演と楽しいトークで、津軽三味線の魅力、日本音楽の面白さを子どもたちに伝えた。
北秋田や札幌の学校では、地域にも開かれたアウトリーチコンサートとし、大盛況となった。
学校によっては児童よりも地域住民の数が多いところさえあった。また、東川小学校は、その教育方針や学習環境が評価され、全国から入学希望者がある学校である。
木材が豊富な地域でもあり、機会があれば、工作(楽器づくり)と連携したような音楽アウトリーチを実践してみたい場所である。

スクールコンサート&ワークショップ
2019年12月6日 川越市立富士見中学校

スクールコンサート&ワークショップ 2019年12月6日 川越市立富士見中学校

口笛の青柳呂武さん、ピアノの追川礼章さん、津軽三味線の山下靖喬さんの3名が中学生を対象にアウトリーチを実践。とりわけ青柳さんの口笛演奏は、中学生にとっては衝撃的で、口笛にチャレンジするコーナーは、予想以上に盛り上がった。
追川さんによるピアノの演奏、そしてピアノの構造や特性についての説明も、中学生にとっては新鮮な興味を呼び起こしたようである。

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