個人事業主の請求書の書き方とは?押さえておきたいポイントを解説

更新日:2025年11月25日

個人事業主が報酬の支払いを受けるには、基本的には請求書の発行が必要です。取引相手が請求書を受け取り、内容を確認したあと、報酬が支払われるという流れになります。
ただ、個人事業主になったばかりだと、「請求書って、どう書けばいいの?」と困ることもあるでしょう。

ここでは、請求書の書き方のほか、請求書を受け取ったときの対応や、請求書の支払い方法にカード払いが便利なことなどを解説します。

請求書は個人事業主が取引先から支払いを受けるために必要な書類

個人事業主の取り引きは、基本的に「受注→納品/仕事の完成→請求書発行→支払いを受ける」という流れになります。個人事業主が取引先から支払いを受けるには、原則として、請求書の発行が必要です。

請求書の発行自体は、法律上の義務ではありません。
しかし、2023年10月にインボイス制度がスタートし、インボイス(適格請求書)の要件を満たした請求書を作ることが基本になっています。
インボイス制度では、適格請求書発行事業者が取引相手(課税事業者)からインボイス(適格請求書)の発行を求められた場合、発行することが法律で義務付けられています。また、インボイスの要件を満たした請求書を発行しないと、取引先は仕入税額控除を受けることができません。仕入税額控除とは、納める消費税額を計算する際に自身が支払った消費税分を差し引くことができる控除のことです。
また、請求書を発行していないと、代金回収時のトラブルにつながりやすいといった問題もあります

そのため、請求書は、法人・個人事業主を問わず、売り上げを管理する上でも重要な書類といえるでしょう。

請求書の書き方

請求書に、決められた書式や書き方はありません。ただし、請求書を受け取った法人や個人事業主が仕入税額控除を受けるために、インボイスの要件を満たした請求書が必要なため、請求書に記載すべき事項はおおよそ決まっています

請求書に記載すべき項目は以下のとおりです。

請求書の書き方

1.請求書の宛名

請求書の宛名は、発注者の社名や団体名、個人名または屋号を記載します。敬称は、会社や団体宛の場合は「御中」、個人の場合は「様」を使います。
事業部門や担当者が指定されている場合は「◯◯株式会社 △△部門 ××様」といった表記で記載しましょう。

2.請求書の発行者

請求書の発行者として、「自身の屋号または氏名」「住所」「電話番号」などを記載します。
必要であれば、「FAX番号」や「メールアドレス」も記載しましょう。屋号を使っていても、振込先が個人名の口座になっている場合は、混乱を避けるために、屋号だけでなく個人名も併記しておきます。

3.インボイス制度の登録番号

適格請求書発行事業者になっている場合は、T+13桁のインボイス制度の登録番号を記載します。発行事業者でない場合は、登録番号自体がないので、記載は不要です。

4.請求書番号

請求書番号は、発行した請求書を管理するための番号です。必須ではありませんが、記載しておくと請求書の管理が楽になります。

5.請求書の発行日

請求書の発行日は、文字通り、請求書を発行した日付です。取引先の経理処理に影響するので、発行日をどの日付にするかは、事前に取り決めておくのが一般的です。

6.取引内容と請求金額

取引内容と請求金額は、請求対象となる具体的な「商品・サービスの内容(品目)」「単価」「数量」「品目別金額」「小計」「消費税額」「合計請求額」を記載します。
月内の複数の取り引きをまとめて請求する場合は、各取引年月日も記載しましょう。
軽減税率の対象となる取り引きは、*などの印をつけ、欄外に「*は軽減税率対象です」と記載するなどして、対象外の取り引きと区別できるようにしておきます。

7.各税率の対象となる額と消費税額

各税率の対象となる額と消費税額は、消費税の税率(8%、10%)別に記載します。各税率の対象となる額は、統一されていれば税抜価格・税込価格のどちらを記載してもかまいません。

8.源泉徴収額

源泉徴収とは、支払い側があらかじめ報酬から所得税分を天引きして、事業者の代わりに納税する制度のことです。ライターの原稿料や士業の報酬などが対象となるため、該当する場合は請求書に記載する必要があります。
源泉徴収額は、1回の報酬額が100万円以下の場合、10.21%を掛けた金額です(100万円を超えた場合は20.42%)。

<請求書記載例(報酬10万円の場合)>
  • ・小計:100,000円
  • ・消費税額(10%):10,000円
  • ・合計報酬額:110,000円
  • ・源泉徴収額:10,210円(100,000円×10.21%)
  • ・合計請求額:99,790円(110,000円-10,210円)

このように、源泉徴収額は合計報酬額から差し引かれるため、実際に受け取る金額は報酬と消費税の合計よりも少なくなります。

9.支払期限

支払期限は、事前に取り決めた期日を記載します。記載しなくても、相手方が仕入税額控除を受けるのには影響しませんが、支払い遅延防止のためにも記載しておくのがおすすめです。

10.振込先

振込先は、報酬を振り込んでもらう振込口座の「金融機関名」「支店名」「口座番号」「口座名義」を記載します。振込手数料は、振り込みをする側(取引先)が負担するのが一般的ですが、取り決めがある場合はそれに従いましょう。

11.特記事項

特記事項には、請求と支払いについての条件や特に注意すべき事項があれば記載します。
振り込み手数料をどちらが負担するかを明記するのもおすすめです。従来とは振込先の口座が変わった場合なども、特記事項に記載しましょう。

請求書の作成はテンプレートを使うと便利

ウェブ上には無料で使える請求書テンプレートが多く提供されているので、実際に請求書を作る際は、これらを利用するのが便利です。また、請求書作成ソフトを活用する方法もあります。
このほか、無料で使えるクラウドサービスなども提供されているので、必要に応じて活用しましょう。

ただし、2023年10月にインボイス制度が導入されたことで、請求書に記載すべき事項にも変更が生じているため、インボイスの要件に対応しているかをチェックしたうえで利用することをおすすめします。

個人事業主が請求書を受け取ったら?

個人事業主も、他社のサービスを利用したり仕事を発注したりしたときは、請求書を受け取る側になります。
請求書を受け取ったら内容を確認し、間違いがなければ期日までに支払いをするのが、基本的な流れです。

なお、受け取った請求書に関しては、支払い以外にも注意すべき点が2つあります。

受け取った請求書は保存が必要

受け取った請求書は、法律により、一定期間保存することが義務付けられています
保存期間は個人と法人で異なり、個人事業主の場合は基本的に5年間、法人の場合は7年間です。なお、仕入税額控除の適用を受けている課税事業者は個人事業主であっても7年間になります。

■個人事業主が受け取った請求書保存期間
区分 根拠法令 請求書の保存期間
免税事業者および、仕入税額控除の適用を受けない課税事業者
※簡易課税制度・2割特例を利用している場合を含む
所得税法 確定申告期限の翌日から数えて5年間
原則課税による仕入税額控除の適用を受けている課税事業者
※インボイスの発行・保存が必要な事業者
消費税法 課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日(翌年の3月1日)から数えて7年間

※簡易課税制度・2割特例を利用している課税事業者は、インボイスの保存義務がなく、請求書の保存義務も所得税法上の5年間が基本となります。

なお、2024年1月1日以降、電子帳簿保存法により、電子データで受け取った請求書は、電子データのまま保存することが義務化されています。
電子データを保存する場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  • ・真実性の確保:タイムスタンプの付与など、データが改ざんされていないことを証明する
  • ・可視性の確保:検索機能や出力機能を備え、必要なときにすぐに確認できる状態にする

一方、紙の形で受け取った請求書は、紙のまま保存が可能です。電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たせば、紙の請求書をスキャンして、電子データとして保存することもできます。

仕入税額控除の適用や経費の支払証明にも請求書が役立つ

個人事業主でも、課税期間の売上が1,000万円を超えた場合や適格請求書発行事業者になった場合は、消費税を納める必要があります。
この納めるべき消費税を計算する際、仕入税額控除の適用を受けるには、取引相手が発行した請求書(インボイス)の保存が必要です。

また、受け取った請求書は、本来は領収書の代わりにはなりませんが、支払内容の内訳などが記載された明細書などといっしょであれば、経費精算に活用できることがあります。確定申告の際に領収書がない場合は、受け取った請求書のほか、明細書、納品書などと合わせて支払いを証明する書類としましょう。

請求書の支払い方法はカード払いが便利

個人事業主の場合、事業で利用する水道光熱費やサービス利用料などの支払いは、カード払いにしておくと便利です。
支払期日になれば自動決済されるので、支払い忘れを防げますし、振り込みに行く手間も省けます。ビジネス用のクレジットカードとして便利な「法人カード」は、個人事業主でも作れるので、1枚持っておくといいでしょう。

なお、取引先から発行された請求書についても、クレジットカード払いにできるサービスがあります
例えば、ダイナースクラブでは「請求書支払い代行サービス(BIPS)」が利用できます。このサービスは、請求書の支払いをダイナースクラブのクレジットカードに切り替えることで、通常はカード払いができない取引先への支払いも、カード払いにすることが可能です。

請求書支払い代行サービスも利用できるダイナースクラブのビジネスカードがおすすめ

請求書支払い代行サービスも利用できるダイナースクラブのビジネスカードがおすすめ

個人事業主が法人カードを持ち、請求書だけでなくさまざまな経費の支払いもカードで決済するようにしておけば、支払いを一元管理できるので大変便利です。
法人カードを会計ソフトに紐づけることで、帳簿の入力ミス防止にもなりますし、確定申告の書類作りの手間も軽減されます。また、決済金額に応じてポイントが貯まる、カードに付帯するサービスをビジネスに活用できるといったメリットもあります。

個人事業主が作れる法人カードはたくさんありますが、カードのステータスや付帯するサービス、使い勝手の良さなどを考えると、魅力的な付帯サービスや機能が充実した、ダイナースクラブのカードがおすすめです。
カード払いに対応していない取引先でも、カード払いができる「請求書支払い代行サービス(BIPS)」も利用できます。

ダイナースクラブのビジネス向けカード、「ダイナースクラブ ビジネスカード」と「ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード」の主な特徴をご紹介しましょう。

ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネスカードは、個人事業主・法人経営者向けのビジネス専用カードです。法人・団体などの代表者や役員、または個人事業主であればお申し込みいただけます。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次の通りです。

ビジネスプロフェッショナルのためのビジネスカード

企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある

ダイナースクラブはアメリカで1950年に誕生し、クレジットカード業界をリードしてきた世界初の多目的クレジットカードです。日本では1961年から発行を開始し、以来、企業の役員、医師や弁護士といった国家資格を有する方など、社会的信用の高い方をメンバーとしてお迎えしてきました。
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。

・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる

ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数ご利用いただけます。
たとえば、会計ソフトの優待サービス、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。

・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる

ダイナースクラブのポイントには有効期限がないため、好きなタイミングでポイントをご利用いただけます。貯めたポイントは、厳選グルメや人気メーカーの家電、ゴルフ用品、各種商品券などに交換可能です。いずれもステータスカードにふさわしい、ワンランク上の賞品がラインナップされています。

・利用可能枠に一律の制限なし

ダイナースクラブのカードは、ご利用可能枠に一律の制限はありません。一人ひとりの利用状況や支払い実績に応じて、個別に設定されます。高額なお買い物の際は事前にご相談いただけるサービスもあります。

・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用でお申し込みができる

ダイナースクラブ ビジネスカードは、申込時に登記事項証明書(登記簿謄本)の提出は必要なく、事業主の信用情報だけでお申し込みができます。法人経営者・個人事業主のどちらでも、お申し込みが可能です。

・充実のビジネス特典がある

加盟店優待「ビジネス・オファー」、会計ソフト「freee」の優待、会員限定の招待イベントなど、ビジネスカードならではの特典も充実しています。

・従業員を含めた経費の一元管理が可能

ダイナースクラブ ビジネスカードは、18歳以上の従業員に対し、追加カードを4枚まで年会費無料で発行可能です(3、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税込)のカード維持手数料がかかります)。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。

■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 基本会員 27,500円(税込)
ポイント換算率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
旅行傷害保険 最高補償額1億円(海外・国内)※利用条件付き
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
追加会員 年会費無料(追加カード発行は4枚まで)
※カード維持手数料:3、4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込)
ETCカード ・基本会員は5枚まで発行可能
・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能
※年会費・カード発行手数料無料
ポイント有効期限 なし
ショッピング保険 購入日より90日間、年間500万円まで

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ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、法人カードではありませんが、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを経費用と使い分けることで、経費管理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。

・プライベート用と経費用に分けて支払口座の設定が可能

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と経費用に分けた経費の管理が容易になります。

・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出として経費計上できます。年間手数料が所得税の節税につながる場合があるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。

・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでも、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスをご利用いただけます。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。

■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年間手数料 5,500円(税込)
ポイント換算率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
ETCカード カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じて5枚まで
※年会費・カード発行手数料無料
ポイント有効期限 なし
保険 本会員カードと同様の保険適用

※ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード単体の発行はできません。

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請求書や経費の支払いには法人カードを活用しよう

個人事業主が報酬の支払いを受けるには、原則として請求書の発行が必要です。
請求書に決まった書き方はありませんが、インボイス制度により、仕入税額控除の適用を受けるために必要な要件が決まっていることから、記載すべき事項はおおよそ決まっています。記載が不十分だと、取引先を困らせてしまう場合もあるので、記載漏れがないように作成しましょう。

反対に、請求書を受け取った場合は、内容を確認して支払いをしますが、支払いを管理するには、法人カードを活用するのが便利です。ダイナースクラブ ビジネスカードを使えば、手間をかけずに経費の一元管理ができます。さらに、JALオンラインのインターネット予約サービスやエグゼクティブ ダイニング、会計ソフトとの連携など、ビジネスに役立つ多くの特典が付いています。

ダイナースクラブは、1950年に米国・ニューヨークのレストランで生まれ、世界で最初の多目的クレジットカードを発行した国際ブランドです。安心して使えること、さまざまなサービスが支持されていることなどは、60年以上の歴史が証明しています。ビジネスに寄り添うダイナースクラブカードをぜひお手元に。

※本記事の内容は、2025年6月現在の情報をもとに制作しています。

本記事の内容は、記事制作時点の情報に基づいて作成されています。掲載情報の正確性・妥当性には十分配慮しておりますが、法的または専門的な助言の提供を目的としたものではありません。ご利用にあたっては、 個別の状況に応じて専門家へのご相談など、ご自身の判断でご活用ください。

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