Special
イラストレーション・naohiga
世の中に“美味しいモノ”は多々あれど、何度でも食べたくなる“あの味”となると、そのリストは絶妙に絞られてくる。“高級な”とか“希少な”とか、あらゆる枕詞を棚に上げ、胃袋だけをグッと掴んで離さぬ“あの味”。いずれ劣らぬ美食の目利きの胃袋と舌を唸らせる、ヘビロテの一品をご紹介いただいた。
\ 初登場!/
世界の味を知り尽くす
コラムニスト
中村孝則
名店の味を食卓に。
「バジルご飯」はわが家の定番ご飯
神楽坂で江戸料理を提供する『山さき』の寄せ鍋、幡ヶ谷にある餃子の名店『ニイハオ』、茶菓子として使わせてもらっている『岬屋』の葛焼き。何度でも食べたくなる味を絞り込むのは至難の業。僕が考える“美味しさ”の定義は二つあり、一つはファインダイニングなどの挑戦的な料理で新しい味覚ゾーンを発見させてくれる味。
そして、もう一つは情報量がシンプルで体をフラットにしてくれる味。家でヘビロテしている「バジルご飯」はフラットにしてくれるタイプの美味しさで、バジルをベランダ栽培してソースを常備しておくほどの定番です。作り方は至って簡単。生バジルにカシューナッツとグラナ・パダーノチーズ、そしてオリーブオイル。酸味で少しレモンを搾り、フードプロセッサーで粉砕する。これをご飯の上にかけ、カリカリに焼いた豚の三枚肉をのせれば出来上がり。
元々は『スーク』という店で出していたものなのだけれど閉店してしまって……今ではそれを引き継ぐように我が家の定番飯になっているんです。
Takanori NAKAMURA
ファッションからカルチャー、ガストロノミーからワイン、シガーまで、幅広くラグジュアリーライフをテーマに執筆するコラムニスト。2013年から「世界のベストレストラン50」、並びに「アジアのベストレストラン50」の日本評議委員長を務める。
Instagram @officedandynakamura
奇跡の57歳。
美の未来形を提案するカリスマ
君島十和子
愚直なまでに手抜きのない豆大福。
美容家にあるまじき“茶色”一色の酢豚
まずは、主人の実家のご近所というご縁で通うようになった『瑞穂』の豆大福。東京三大豆大福の一つを提供する名店で、極限まで甘さを控えたとろとろの餡とふんわり柔らかなお餅は、一度食べたら病みつきに。お使い物にすることも多いのですが、差し上げた方からもリクエストをいただくほどの逸品です。
売り切れたら閉店で、いつもたくさんの方が列を成していらっしゃるせいか、買う量が多くても喜ばれるような忖度はナシ(笑)。そんな職人気質を推し量り、こちらのほうが必要最少の個数を考えてしまうような、そんな間合いもいいんですね。
そしてもう一つが、上海料理をベースにしたチャイニーズ『ミモザ』の酢豚。素材は、豚肉と中国干し梅だけ。茶色一色という美容家にあるまじき選択ではありますが(笑)、梅のクエン酸のおかげなのか、意外にさっぱりといただける。家族分に出された一皿を独り占めしてしまうぐらいの美味しさなんです。世の中に美味しい料理はたくさんありますが、何度でも、ということになるとこの2品。味覚から幸せにしてくれるんです。
Towako KIMIJIMA
1966年生まれ。モデル、女優を経て、現在はスキンケアブランド「FTC」クリエイティブディレクター。その美しさから、美のカリスマとしてコアなファンを魅了し続けている。今年4月、『アラ還十和子』(講談社)を出版。ライフスタイルから美への姿勢などを赤裸々に綴った内容が反響を呼んでいる。
Instagram @ftcbeauty.official
日本の心をこよなく愛する
スウェーデン人初の日本茶伝道師
ブレケル・オスカル
旬の焼き魚と土鍋で炊いたご飯。
日常の丁寧な食事ほど贅沢な味はありません
日本に来て驚いたのは、海産物の種類の多さ。日本ほど様々な魚を味わえる国はないでしょう。実は数年前まで日本の家庭のコンロについている“魚焼きグリル”(外国ではほとんど見られない)を使うのに、二の足を踏んでいたのですが、試してみたらその秀逸さに喝采!(笑)。
やはり外国人には馴染みがなくて使っていなかった土鍋で炊いたご飯を焼き魚に合わせれば、これ以上の幸せはありません。それに納豆と梅干しがついたらご馳走ですね。ちなみに納豆好きな僕のお気に入りは、ワサビで食べる「あづま食品」の「黒千石小粒なっとう」。
北欧出身なので、時々ニシンが恋しくなるのですが、味醂干しとか西京焼とか、日本流のアレンジでこんなにも美味しくなるのかという発見が。日本人にしてみたらオーソドックスすぎるメニューかもしれません。けれど、その一皿を丁寧に作ってみたら、これほど何度でも食べたくなる味はないんです。
Oscar BREKELL
1985年スウェーデン生まれ。日本茶に魅せられ、2010年、岐阜大学に留学。2014年、合格率30%の狭き門と言われる日本茶インストラクターの資格を取得。農林技術研究所 茶業研究センターの研修生などを経て2018年独立、現在は“日本茶の伝道師”として普及に努めている。
Instagram @brekell
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さまざまな分野で活躍する目利きたちによるコラム【目利きが選ぶアレやコレ】。今回は目利きたちの何度でも食べたくなる“あの味”をご紹介。