Special
イラストレーション・naohiga
日々の暮らしの中で、時間を忘れてまでも熱中してしまうハマりもの。熱くもあり、静かでもあるそんな時間は自分へのギフトのようなものかもしれない。目利きたちのハマりものと、それがもたらす関係性。やはり、そこには素敵で深いエピソードがありました。
\ 初登場!/
奇跡の57歳。
美の未来形を提案するカリスマ
君島十和子
何を持つか、持たないか。
愛着を整理することで見えた自分
昨今、日々勤しんでいるのが断捨離。それは物を処分するほどに、今の自分の在り方が浮き彫りになる作業になっています。たとえば二度の引っ越しを経ても捨てられなかった400冊の本。今はオンラインで見られる時代だから、所有の概念自体を変えてみようと断捨離。すると、必要な物、やりたいこと、やるべきことの選択がとてもクリアになってきたんです。
けれど、整理したはずなのに、また買ってしまうものもあります。それが「フェイラー」のハンカチ。肌触りがよく、色褪せず、洗ってもヘタれず、子育ての際に欠かせなかったアイテムとしての記憶と共に愛着が甦ってきます。
大人になった娘たちがフェイラーを選んでいる様子を見るのも感慨深く……。新作が出ると、気持ちは押してないのに、手がポチり。そんな自分を発見するのも断捨離の醍醐味かもしれません。
Towako KIMIJIMA
1966年生まれ。モデル、女優を経て、現在はスキンケアブランド「FTC」クリエイティブディレクター。その美しさから、美のカリスマとしてコアなファンを魅了し続けている。今年4月新刊本『アラ還十和子』(講談社)を出版。ライフスタイルから美への姿勢などを赤裸々に綴った内容が反響を呼んでいる。
Instagram @ftcbeauty.official
\ 初登場!/
日本の心をこよなく愛する
スウェーデン人初の日本茶伝道師
ブレケル・オスカル
ひとときの幸福を淹れてくれる
世界をともに旅した急須
よく、美味しい日本茶を淹れるにはどうしたらいいかと聞かれることがあります。70~80度のお湯がいいとか、方法は色々あるのだけれど、まずは日本茶のために作られた“急須”を使うのが一番だと僕は思うんです。
日本茶の普及に努める僕のハマりものが“急須”というのも面白味がなくて申し訳ないけれど(笑)、これさえあれば、旅先でもほっと美味しい一息を入れることができるんです。お気に入りは常滑焼の作家・磯部輝之氏の「平型急須」。平たい形に沿って茶葉が均一に広がり、旨みや香りがほどよく抽出できます。
硬水が多いとされる海外でも美味しく淹れられることもある茶葉「香駿」もよく持参します。香駿は冷茶にしても美味しいので、暑くなるこれからの季節にはぴったりです。急須で淹れる味わいと所作……それは僕の静かで豊かな時間になっています。
Oscar BREKELL
1985年スウェーデン生まれ。日本茶に魅せられ、2010年、岐阜大学に留学。2014年、合格率30%の狭き門と言われる日本茶インストラクターの資格を取得。農林技術研究所 茶業研究センターの研修生などを経て2018年独立、現在は“日本茶の伝道師”として普及に努めている。
Instagram @brekell
ガストロノミー界の風雲児
世界中から予約の殺到するシェフ
米田肇
幼少期のできなかったことを克服。
50歳からやれるようになったコト
コロナ禍の期間にハマっていたのは、早朝から出かける「バスフィッシング」。そして、子どもと出かけた玩具屋でふと手に取った「ガンダムのプラモデル」も、肋間神経痛とぎっくり腰を誘発するほど熱中。おかげで大会で優勝できるぐらいの完成度に到達しました(笑)。そして今は、シックスパックを目指した「筋トレ」の日々。
振り返ってみると若かりし頃に中途半端にしかできなかったことを、50歳になって完結させているんですよ。優秀なルアーも、プラモデルを装飾するパーツも、子どもの頃は高くて手が出せなかったけど、今なら存分に手に入れることができます。筋トレは、K-1創設時にジムに通っていた時の理想形を再び目標にしています。
色々なことがうまくできずに劣等感の中で生きていたけれど、人生の焦点が50歳になって合ってきた感じ。どれも、こんな充実の時間を迎えられる人生になってよかったなと思わせてくれる“ハマりもの”なんです。
Hajime YONEDA
1972年大阪府生まれ。電子部品メーカー勤務から1998年、料理人に転身。日本、フランスで修業を積み、2008年『Hajime RESTAURANT GASTRONOMIQUEOSAKA JAPON』を開店。当時、ミシュラン史上世界最短の1年5 ヵ月で三つ星を獲得する。2012年、店名を『HAJIME』に改め、最も予約の取れないレストランとして日々至福を提供し続けている。
Instagram @hajimeyoneda
2024/12/20 Special
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さまざまな分野で活躍する目利きたちによるコラム【目利きが選ぶアレやコレ】。今回は目利きたちの“これさえあれば気分が上がる私のハマりもの”をご紹介。