Special
イラストレーション・naohiga
食にまつわるエピソードほど、多彩なものはない。あの時食べたあの味。あの人と食べたあの場所。食とは身体をつくる基本だが、大切な思い出でもあり、コミュニケーションツールでもある。大勢で楽しみたいご飯。一人で食べたくなるご飯。今月は目利きたちの食の風景をお届け。
美と健康と幸福を探求し、
森暮らしを実践する植物療法士
早坂香須子
一人でも大勢でも、どこへでも。
〝口福〞を運んでくれる老舗のお取り寄せ
長野の森に移住したのが昨年の夏。朝、コーヒーを飲みながら景色を眺めていると、あっという間に半日経ってしまうほど、森暮らしは魅力的です。でも、移住に際して一番心配だったのが食でした。野菜やジビエ、発酵調味料など、地元のご馳走は山ほどあるけれど、東京では何でも便利に買える環境で外食も多かったので、本当に大丈夫だろうかと。
でもその不安を払拭してくれたのが“老舗のお取り寄せ”だったんです。冬限定で毎年取り寄せる京都・本家尾張屋の「宝鍋」を、今年は森の自宅で友人たちと囲みました。これからの季節、特に夏場ならば京都・青家の「参鶏湯セット」です。
セットになったお取り寄せの利点は、極上の食材が一箱に入っていること。たとえば一人ご飯のお気に入りでサブスクしている東京・代々木上原の按田餃子。種類も調味料もバリエーションがあるので、何もしたくない日でも美味しい餃子が気軽にいただけます。大勢でも一人でも大活躍のお取り寄せは、田舎暮らしの強い味方です。
Kazuko HAYASAKA
メイクアップアーティスト、植物療法士。長野県にある森林との出会いから、森の再生をしながら自然の中で生きることを選ぶ。同時にKAZTERRAMORI名義で作家活動を開始。2024年10月には、文筆家・服部みれい氏と共著である詩画集「わたしの中にも朝焼けはある」(河出書房新社)を上梓。
Instagram @kazukovalentine
ナイトシーンを魅了する
世界一のバーテンダー
後閑信吾
大勢ならキャンプ飯、一人なら質素に。
味覚の基礎体力を整える
基本的に食べ物は美味しい物か身体にいい物か、その二択で考えます。そして味覚のトレーニングと経験値を上げるため、できるだけ新しい素材やメニューを選択。レストランでもスーパーでも屋台でも、新情報は脳にインプットしておくんです。引き出しを満たしておかなければ、カクテルをつくる際のアウトプットにつながらないから。
一人飯はいたってシンプル。朝、大量のフルーツを食べて、数時間後に卵を4個とサラダ、そんな具合。一度、茶師の方と知り合った際、調味料は塩しか使わず、味覚管理を徹底していると伺ったことがあります。以来、ケミカルなものや味の濃すぎるものは避けるよう心がけています。
とはいえ、年に1~2度はタガを外し、ラーメンを満喫したりすることはあるのだけれど……。大勢で食べるなら、つくるプロセスも楽しいBBQやキャンプ飯など。今年は新店舗をオープンすることもあり、日本にいる時間が多く取れそうなので、そんな休日らしい食事を楽しみたいと思っています。
Shingo GOKAN
2012年世界最大規模のコンペティション「Bacardi Legacy Cocktail Competition」に米国代表として出場し、優勝。2017年、バー業界のアカデミー賞といわれる「Tales of the Cocktail」の「International Bartender of the Year」を受賞。「Asia’s 50 Best Bars」では、2019年にバーテンダーが選ぶ「Altos Bartenders’ Bartender」を、2021年にはバー業界を象徴する人物に贈られる「Roku Industry Icon Award」を受賞。最も注目されるバーテンダーである。
Instagram @shingo_gokan
愛と熱血で抜群のコミュ力を
発揮するフリーアナウンサー
内藤裕子
大勢で食べる時も一人の時も。
カレーは人や時間をつなぐ万能食
NHKを退局して間もなくの頃、そろそろ何かしたいなぁというタイミングで入学したのがカレー大学院でした。元々カレー好きだったことに加え、カレーについての学びが本格的で奥深くて。その後、カレーで料理番組に出演させていただくようになったり、講師の資格を取ったりするほどに。
毎日のようにカレーをつくるほど熱中した理由とは、スパイスの選び方、具の組み合わせ方など、可能性が無限にあるから。大勢でも初対面の方でも、カレーを囲めば一気に打ち解けてしまえる“ご馳走”なんですね。また、カレーはラブレター。たとえば、胃の調子が悪そうだなと思ったら、クミンを入れたり、すりおろした大根を入れたり、薬膳のように相手を気遣うことができます。
一人の時なら、かつて母がつくってくれた味やキャンプの時の味など、その香りが大切な思い出を鮮やかに甦らせてくれます。大勢なら楽しくて、一人なら心強い。カレーさえあれば、食卓は温かくなってくれるんです。
Yuko NAITO
東京女子大学卒業後、アナウンサーとしてNHK入局。『ニュース7』「首都圏ネットワーク」のキャスター、『あさイチ』リポーター、大河ドラマ『篤姫』の紀行ナレーションなどを担当。著書に『内藤裕子のカレー一直線!!』(池田書店)。カレー大学院卒業後、"カレーアナ"としてカレー愛に溢れた日々を送る。
Instagram @yukonaito713
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