Special

目利きが選ぶアレやコレ
第22回:次なる旅のテーマ

イラストレーション・naohiga

旅の計画は人生を豊かにするスパイスだ。それは思いを巡らせた時から始まっているといえるだろう。さて、目利きたちの次なる旅のテーマとは?それは、人生に加える彩りを物語っていた。

01 Kozo HIBI

日本のアートシーンを底から支えてきた
三代目・銀座の粋人

日比康造

納得できる居場所を見つけるまで"旅"はしない。
旅の可能性を秘めた定住者を今はやり切る

25歳という年齢まで、生業は旅人と言ってもいいぐらい気の向くままに旅して回っていた。リュック一つあれば豊かでいられたけれど、長引くにつれ、旅が目的になっている人たちの自由なようでいて不自由な感じ、積み上がらない哀しさみたいなものを勝手に見た気がしたんです。

詩人・管啓次郎さんの本に「旅の可能性を考えない定住者に現実を変える力はなく、定住を考えない旅人は退廃に沈むだろう」という文章があって、まさに我が意を得た思いがしました。日本でなにがしか納得のいく居場所を手にするまでは旅に出ないと誓い、帰国したんです。

以来、遠出をする場所といえば、アートを通じて町づくりに関わるようになった香川や、月光荘の仕事で訪れたパリなど、生業を基軸として呼ばれた場所ばかり。それは一般的には出張と呼ぶものかもしれないけれど、あの旅して回った日々の続き、旅の可能性を秘めた定住者の覚悟。記念写真の一枚も撮らない、一つの旅になっているんです。

Kozo HIBI

大正6年創業、銀座に100年以上続く画材店『月光荘』3代目店主。店名は、初代と懇意にしていた与謝野鉄幹・晶子が詠んだ歌にちなむ。日本初の純国産絵の具の開発に成功し、オリジナル製品のみを取り扱う世界唯一の画材店としてその名を知られる。トレードマークの「友を呼ぶホルン」は、その音のもとに多くの仲間が集うようにと、与謝野夫妻を中心とした当時の文化人たちが考案したもの。

Instagram @kozohibi

02 Yoko SHIBATA

時代を生み出し続ける
ブランドプロデューサー

柴田陽子

行きたい場所は山ほどもある。
旅はその世界観を堪能するもの

旅するために働いていると言っても過言ではないほどの旅好き。フロリダの『ザ・リッツカールトン』でゴルフを楽しむ旅がしたい。友人の勧めてくれたケニアのホテルに出かけたい。子どもを連れてラスベガスのショーを見に行きたい。行きたい場所は山ほどもあります。

一人で出かけることはないので、次なる旅の計画は、誰かと行くタイミングが整った時。あの人とならどこで何をするか、それをコーディネートするのが楽しみの一つにもなっています。最近、北軽井沢にある『NOT A HOTEL』のウェルネスをプロデュースさせていただく機会があり、いよいよ大好きな旅と仕事が融合するようになってきました。

私の旅はどこか仕事とつながっていて、その施設の"世界観"を見に行くのが醍醐味なんですね。ゆえに、旅に出かける時には、誰とどこのどのホテル、というようなストーリーができあがってくる。国内外を問わず、そんな世界観を楽しむのが旅のテーマになっています。

Yoko SHIBATA

シカゴ留学後、レストラン開発会社の取締役をへて独立。商業施設等のプロデュースを手掛ける。現在、有限会社柴田陽子事務所代表取締役。多方面にわたりブランドコンサルティング業務を行うほか、アパレルブランド「BORDERS at BALCONY」のデザイナーとしても活躍する。

Instagram @yokoshibatabordersatbalcony

03 Yuya HASEGAWA

足元から世界を変革する
靴磨きの世界チャンピオン

長谷川裕也

子どもたちを連れてモンゴルへ。
家族で広い世界を見に飛んで行きたい

次なる旅のテーマは「家族旅行」です。行き先はモンゴルの大平原をイメージしています。妻が好きで何度か行ったことがあり、かつ一番下の子どもがまだ2歳という年齢から、ヨーロッパなどの遠い都市はまだ物理的に難しいという理由からです。

僕自身は小さい頃にあまり海外へ出たことがなかったため、広い世界を見てみたいという意欲を持つように。幼い頃から他の国を見ることが必ずしもいいことと信じているわけではないけれど、YouTubeやさまざまなメディアで世界を垣間見ることができる昨今、子ども4人と妻の6人で同じ壮大な景色を眺め、それぞれ違う感動を味わってみたら面白いのではないかと。

大平原を馬で駆け巡る爽快感も体感してみたい。モンゴルの中でもより辺鄙な原風景を求め、土着の民族衣装のエネルギーを感じ、魂が揺さぶられるような旅に出かけて行きたいと思うんです。

Yuya HASEGAWA

1984年生まれ。20歳の時に路上から独学で靴磨きをスタート。2008年には世界初のカウンタースタイルの靴磨き店「Brift H」をオープンする。2017年にロンドンで開催された第一回世界靴磨き大会にてみごと優勝。名実ともに世界一の靴磨き職人の称号を手にいれる。著書に『靴磨きの本』など。

Instagram @yuya.hasegawa.brift.h

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さまざまな分野で活躍する目利きたちによるコラム【目利きが選ぶアレやコレ】。今回は目利きたちの“次なる旅のテーマ”をご紹介。