Special

「目利きが選ぶアレやコレ」
特別スピンオフ:

芦田多恵の欠かせないファッションアイテム

持つべきは、“自分にとって快適なスタイル”

「デザイナーって、意外とシンプルな服を着ていることが多いんですよ。アルマーニさんのクローゼットには黒のTシャツばかりが並んでいたとか。動き回るのに便利だということもありますが、“自分にとって快適なスタイル”を一つでも持っていると組み立てやすいです」

TAE ASHIDAのデザイナー、芦田さんには、“どんなコーディネートをしたらよいか”という質問がよく寄せられるのだという。多少なりともファッションに関心のある人ならば、それは永遠のテーマだろう。だが、プロが語るスタイルの話は、シンプルにして的確だ。

「動きやすい、軽いなど、“物理的な快適さ”と“自分らしく動ける快適さ”。自分らしいスタイルとは、これを両立させたものだと思うのです。私の場合、身長がそれほど高くないので、ボトムスはシャープで少し長めのスカートなどでバランスを取ります。冬のお気に入りは革のボトムス。1日おきにチョイスするほどです。ボトムスをシャープな印象で押さえておけば、トップスに何を着てもサマになるんです。革はシワにならず、ニットを着ても毛がつかない。革って扱いにくい印象があるかもしれませんが、柔らかく動きやすいものを選べば、使い込んでいるうちにそれが味になったり、うまく馴染んで自分の形になってくれたりします。夏ならば、TAE ASHIDAのシグニチャーである人気素材の“リュクスナイロン”のボトムスを。リュクスナイロンは軽くてストレッチが効いていてシワにもならず、しかもUV加工が施されている。ハイエンドのウェア用に作られた素材だそうです。旅行にも便利でヘビロテしています」

ファッションの自由度を高める、新素材

「自分が肩こりだからかな」と前置きすると、芦田さんは続ける。

「特にコロナ禍以降、服は楽に着られるものが求められていますよね。昔はオシャレとは我慢の上に成り立っているとか、例えばオートクチュールも、脱いでも人型ができるような窮屈なものが美しいとされていたこともありましたが、一度“楽さ”を覚えてしまった体は元に戻れない(笑)。選ぶ時もそうですが、作る時にも気をつけているのは、動きやすいけれど綺麗に見える服です。いくら着心地が良くてもきちんとした印象を持つことは、ファッションを考えるうえで大切なことだと思いますし、何よりそのほうが気分良く楽しめます。最近では、スポーツウェアに使用される機能性素材の質も急激に進化していて、そんな流れもファッションの可能性を広げてくれているんじゃないでしょうか。それは特に男性のファッションに言えるかもしれません。夏でもスーツでネクタイを締めなければならないなど、その窮屈さは察して余りあります。リュクスナイロンのパンツは、まさにきちんと見えるのに動きやすい。科学の進化は日常の自由でさえも広げてくれるんですね!」

“使い勝手の良さ”にも芦田さんの服に対する信念が込められていた。「クローゼットに着ない服がたくさんぶら下がっているのって、嫌じゃないですか? “登場の機会が少ない服”というのは、素敵であっても“もったいない服”になってしまいます。目指すのは、素敵、かつ汎用性のあるもの。服は間違いなく表現手段ではありますが、服のことに意識をとらわれることなく、本題に集中できる服。その人の日常を、人生を、快適にサポートするものだと思うんです。楽なだけでなく、本当に考えられた着心地の良さとは、動作までをも綺麗にしてくれるもの。そういった意味では、自分にとっての着心地の良さ、それを元にしたスタイルとは、単なる服の域を超えて考えてみる価値のあるものかもしれません」。

TAE ASHIDA SPRING SUMMER COLLECTION 2026

スタイルアップのポイントは、見えないところに

コーディネートを考える際、もう少し意識を向けたら格段にスタイルアップするポイントがあると芦田さん。そんなとっておきのヒントを教えていただいた。

「例えば下着の選び方。特に女性の場合、夏なら透け感のあるものだったり、時にはドレスだったり。透けている素材なら、ベージュ色で下着で存在感をなくしてみるとか、逆に見えてもいいデザインでポイントを持ってくるとか。下に何を着るのかでまったく印象が変わってきます。ニットやフィット感のある服は、身体のラインが目立つからと敬遠するのではなく、補正下着でラインを補う。洋服ほど意識することはないですが、実は下着の選び方でスタイルは断然変わってくるんです。年を重ねるほど体を締めつける下着は嫌だとおっしゃる方が多いのですが、“この下着でいいのかな”という意識を頭の隅っこに入れておくだけで、ファッションの可能性は広がってくれます。

Tae ASHIDA

東洋英和女学院小学部・中学部、スイスのル・ローゼイ高校を卒業後、アメリカのロードアイランド造形大学アパレルデザイン科を卒業。同校にて芸術学士号を取得。1991年にコレクションデビュー。「ジュンアシダ」のクリエイティブディレクター、「タエアシダ」のデザイナーを務める。令和6年度文化庁長官特別表彰を受賞。

Instagram @taeashida

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さまざまな分野で活躍する目利きたちによるコラム【目利きが選ぶアレやコレ】。今回は特別スピンオフ:芦田多恵の欠かせないファッションアイテムをご紹介。