Special

「目利きが選ぶアレやコレ」
特別スピンオフ:

TAKAHIROの欠かせないファッションアイテム

~シルエットとストーリーが自分のスタイルを作っていく~

文・小野ゆかり

二つの軸で変わるTAKAHIROさんらしさ

取材の日、待ち合わせをしたのは天井の高いカフェだった。几帳面なTAKAHIROさんが誰よりも早く店に到着していたのは、ある意味、予感どおり。けれど、たくさん並んだ“黒っぽい背中”の中から、一目でTAKAHIROさんを見つけられたことは、ちょっとした驚きだった。椅子に座る後ろ姿が、TAKAHIROさんそのものだった。スタイルとは、こういうことなのかと唸らされた瞬間だった。

そんなTAKAHIROさんにファッションポリシーについて、質問を投げてみた。

「私のファッションを考えるとき、軸になることが二つあるんです。一つは振付師としての自分、そしてもう一つは、出役としての自分です。振付師という裏方の際は、“闇に溶け込む”がテーマです。アーティストさんより派手な色は使わない。ミュージックビデオなどの撮影では、映り込んでも映像処理ですぐに消せる黒っぽい服装が多いです。一方、テレビなどのメディアに出演する際は、スタイリストさんに提案していただき、普段は着ない新しいデザインや色を取り入れてみるようにしています。なぜ今この色が流行っているのだろう、と、違うものへの挑戦はトレンドを考えるきっかけになり、新しいページを作ることができます」と、アーティストとして二つの顔をもつTAKAHIROさんらしい言葉。

「ダンスをしているので、動きやすさは重要です。けれど、それ以上に心がけているのは、どんな業種のどんな年代の方とお会いしても失礼にならないような、品格のあるスタイル。そして、これは表現者として最も大切にしていることなのですが、その服を着る背景にある“ストーリーと自分らしいシルエット”だけは、どんな場合にも変わらず真ん中に置いておこうと思っているんです。たとえば、“青くて丸くて可愛いシルエット”といえば、みなさんよくご存じの猫型ロボット。“マントをつけて空を飛んで、顔を食べることができる”といえば、何とかマン、というように。ストーリーやシルエットは、それだけでその人を表してくれるでしょう?」

TAKAHIROさんが語るファッションの話は、人としての本質を炙り出してくるようだった。後ろ姿がTAKAHIROさんそのものであった理由も納得。となると、何がTAKAHIROさんを作り出しているのだろうか……具体的なアイテムが気になってくる。

「普遍のエレガンス」を腕元に

「長く愛用しているのは、ブレゲの「マリーン5817」。ちょうど30歳の節目にブレゲさんのイベントでご縁をいただき、父と一緒にブティックに出向いて選んだ時計です。その後も新しい時計は増えていますが、ここぞという時には必ず「マリーン5817」を選んでいます。常に新しいものをクリエイトする日々の中で、忘れずにいるべき大切なものは何なのかを教えてくれる……。私と一緒に今という時を刻みながら、まるでタイムスリップでもするかのように、過去の様々な出来事を印象的に思い出させてくれもします。「エレガンスは普遍である」とは、デザイナーの故・芦田淳さんの御言葉ですが、「マリーン5817」をつける時、長く愛されるもの、長く愛せるものには、必ずエレガンスが宿っているものなのだと実感しています」

お父様と選んだ記念の一本。ブレゲ「マリーン5817」(現在は製造中止)。

長く愛せるものというと、とかく高価な品をイメージしてしまいがちだが、TAKAHIROさんの最近の“定番”の基準は別のところにあり、そして明快だった。

「先日、セオリーさんのイベントで、ウールなのにまったくチクチクしないセーターに出合ったんです。着心地だけで解放感が得られる感覚で、文句なしに私の定番となりました。ニューヨークの魅力を発信するブランドコンセプトも、私の歩んできた軌跡とリンクして、長く愛せるストーリーになりました。

素肌にも優しいと愛用中のTheory「Regal Wool Mock Neck Sweater」31,900円 (税込)

お問い合わせ:リンク・セオリー・ジャパン TEL03-6865-0206

https://www.theory.co.jp/shop/item/025301705?colorCode=050&shopCode=02

「グロースヴァルト」という日本ブランドの“フィーグ(フランス語でいちじく)”と名のついたボディバッグも最近、定番リスト入りしました。熟練の職人さんたちが丁寧に仕上げているこのバッグが、カジュアルでもドレスアップでもしっくりと合って、とても塩梅がいいんです。手作りのため、毎月の生産数が限られているとか、良心的な価格ということも、作り手の真摯な顔が見えるようで心地いいんです。

ファッションとは、単なる上物かもしれません。けれど、着こなしに軸があれば、自分というスタイルが完成する。だからこそ、自分と向き合い、表現するファッションは大切なものだと思うんです」

独特な形状で、背負ってみるとまるで吸い付くように体にフィットする。
「Figue Blossom GRAY」

素材:牛革(ベジタブルタンニンなめし)、サイズ:H400×W250×D130㎜、119,000円(税込)

お問い合わせ:ソルフレア TEL03-6273-7900

https://gross-walt.com/

  

TAKAHIRO

NYC APOLLOシアター全米放送TVコンテスト(Showtime at the APOLLO)にソロダンサーとして出場。史上最高記録となる9大会連続優勝を達成し、米国プロデビュー。2009年マドンナワールドツアーに参加。ダンサーエージェント「インフィニティ(INFINITY)」主宰。大阪芸術大学舞台芸術学科客員教授。「The fastest 20 m moonwalk」ギネス記録保持者。

Instagram @takahiro_dancer

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さまざまな分野で活躍する目利きたちによるコラム【目利きが選ぶアレやコレ】。今回は特別スピンオフ:TAKAHIROの欠かせないファッションアイテム ~シルエットとストーリーが自分のスタイルを作っていく~ をご紹介。