インタビュー
写真・栗林成城 文・山下シオン
Photographs by Shigeki KURIBAYASHI
Text by Shion YAMASHITA
表参道駅からほど近い「青山花茂本店」の店内で。同社代表取締役社長の北野雅史氏。
優良な生産者さんから等級の高いものだけを仕入れる。届いたのちも、店内で徹底した品質管理を行う。
1904年に創業し、100年以上にわたって花の品質を大切にして歩み続け、1959年からは宮内庁御用達としての役割も担ってきた『青山花茂本店(あおやまはなもほんてん)』。2019年に就任した現社長の北野雅史氏は、初代社長が曾祖父にあたる5代目。北野氏が率いる青山花茂が語る「本物の花体験」とは、どのようなことを指すのだろうか。
「世の中にはたくさんの生花店がありますが、仕入れる花の品質にはかなりの差があります。生産者さんによっても違いますし、同じ生産者さんが育てる花でも等級が違うことがあります。また、輸送の時の梱包の仕方や、水につけて鮮度を保つなどの気遣いも大切で、その違いは花の品質に顕著に表れます。そのため、弊社は優良な生産者さんから一番いい等級のものを仕入れています。入荷後もいい状態を保つようにと、透明の器にきれいな水を入れ、水が濁らないように頻繁に取り替えます。お客様のお宅でも長持ちする花だけを、店頭に置くようにしています。お客様にそれを実感していただけることが、我々の申し上げる“本物の花体験”です。本当のお花の良さを感じていただければ、もっとお花を好きになっていただけるのではないかというのが、我々のコンセプトです」
熟練のデザイナーにより緻密に組み上げる花束。プレミアムプラン(東京23区限定)は、花瓶に水が入った状態で届けられる。
コロナ禍になってからは、“お家時間”を大切にする人が増えたことから、家に飾る花の需要も高くなっている。そんな中、宮内庁御用達としての知識や経験が生み出した青山花茂のサブスクリプションサービスは格別だ。このサービスをスタートしたきっかけについて、北野氏は次のように語る。
「家にいる時間が長くなったことで、生活に花を求める方が増えたのは間違いないと思います。特に外にも出られない鬱屈としていた時期には、気晴らしに花や観葉植物を購入する方が増えました。そうした状況から、2020年には世の中に花を定期的に届けるサブスクリプション、通称サブスクサービスが話題になりました。弊社にも“サブスクはないのか”というお問い合わせがたくさんあったので、そのお気持ちに応えるために『季節の花の定期便』を始めました。我々のコンセプトである“本物の花体験”を味わっていただくため、最高品質の切り花をお届けしています」
プレミアムプランの一例。花瓶ごと花束が届くので、そのままリビングに置くだけで、おうち時間が楽しくなりそう。
2021年から始めた青山花茂のサブスク「季節の花の定期便」は、全国対応の5,500円(税込)のベーシックプランと東京23区限定の11,000円(税込・送料無料)のプレミアムプランの2コースがあり、さらに毎週、隔週、月1回の回数を選べるようになっている。どちらのコースも花束の状態で届けられ、プレミアムプランは花束を花瓶に水を入れた状態で届けられるので、生けるのが難しいという心配もない。安価なお花のサブスクが多い中、ほかにはない4つの特徴に青山花茂のスピリットが込められている。
4つの独自のこだわりで高品質のサブスクサービスを実現させていると、北野氏。
「1つ目は、最高品質の花を扱っているという点です。仕入れ先と等級にはこだわって、市場で最高品質の花を仕入れ、徹底した鮮度管理の下、お客様にお届けします。2つ目は鮮度の良いお花をお届けするために曜日を限定していること。仕入れた日の翌日だけを発送日とすることで、鮮度の管理ができます。ほかの曜日にしたいというご要望に応えることができませんが、良い花を入荷したらすぐにお届けしたいという思いから、思い切って限定にしました。3つ目は弊社のフラワーデザイナーが花束を組んでいることです。熟練した腕を持つスタッフが担当しているので常に上品な取り合わせになるのですが、花束は花の配置の仕方でかなり印象が変わるんですね。たとえば白、赤、ピンクの花を3色で3本ずつ組むときに、それらを単調に組むのと赤をグルーピングして白とピンクを混ぜて組むのとでは、全然印象が違うんです。この作業をプロが担当しているので、美しい組み合わせになります。4つ目は、フラワーレシピのカードをおつけしていること。毎回、花材名や品種、花色を記入したものを添えているので、花の種類を知っていただく機会にもなると思います。プレミアムプランでは、さらに花の組み合わせのこだわりなどについても書いているので、それも楽しんでいただきたいですね。ほかのサブスクにはないサービスを心がけています」
ベーシックプランでは、全国への配送を実施。生けやすいように花束の状態で届けられる。
このサービスを利用するお客様の好みなどを把握するために、送った花についての記録もきちんと残している。プレミアムプランでは、初めて利用する方にも、その方が求めているものを知るための質問を投げかけるという。
「とてもシンプルなことなのですが、花瓶を置く場所がテーブルなのか、棚の上なのか、壁を背にしているのか、目線より高いのか、低いのか。NGなお花はあるのか、匂いは大丈夫なのかを事前に伺っています。その結果、毎回ご満足いただけるお花を届けることができます。プレミアムプランだと花瓶とともにお届けするので、置き配ができるように専用の“岡持”も作りました。次のお届けの時もそのまま交換できるので、とても便利です。利用してくださっているお客様からは、花の日持ちが良いとご満足いただいていますし、組み合わせが上品でいいというお言葉もいただいています。これがきっかけとなってお花を贈るときにご用命いただくなど、ご利用いただく範囲が広がっているようです。ぜひ一度お試しいただき、違いを感じていただければと存じます。定期便を利用される前にご自宅用にご注文いただいてもいいですし、ギフトとしてご利用いただいても構いません。『季節の花の定期便』を通して、ぜひ“本物の花体験”を味わっていただきたいですね」
宮内庁御用達、青山花茂のスペシャルな花束のサブスクリプション。その体験から得られる満足感が、あなたを“花のある上質な日常”へと導いてくれる。
北野氏プロフィール
北野雅史
Masahito KITANO
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済科卒業。2006〜14年まで戦略コンサルティングファームA.T.カーニーに在籍。14年、青山花茂本店に入社し、19年より現職(青山花茂本店 五代目)。
お問い合わせ
青山花茂本店
電話 03-3400-0871
Company Information
本記事でご案内した青山花茂の花のサブスクリプションサービス
「季節の花の定期便」の詳細・お申し込みはこちら
2024/12/02 Interview
2024/12/02 Interview
2024/11/01 Interview
2024/08/16 Interview
2024/07/16 Interview
2024/05/16 Interview
2024/04/30 Interview
2024/03/28 Interview
2024/02/28 Interview
2023/12/18 Interview
2023/11/16 Interview
2023/10/16 Interview
2023/09/19 Interview
2023/07/18 Interview
2023/06/16 Interview
2023/04/03 Interview
2023/03/01 Interview
2023/01/16 Interview
2023/01/16 Interview
2022/12/16 Interview
2022/11/16 Interview
2022/10/17 Interview
2022/09/16 Interview
2022/07/19 Interview
2022/06/16 Interview SDGs
2022/06/16 Interview
2022/06/16 Interview
2022/04/18 Interview SDGs
2022/03/16 Interview
2021/11/16 Interview
1904年に創業し、100年以上にわたって花の品質を大切にして歩み続け、1959年からは宮内庁御用達としての役割も担ってきた『青山花茂(あおやまはなも)』。現社長の北野雅史氏へのインタビューをご紹介。