インタビュー
文・渋谷ヤスヒト
Craif株式会社CEO 小野瀨 隆一氏(左)と慶應義塾大学医学部 特任助教 加藤容崇氏(右)
写真・岡村昌宏
「がん」は1981年以降、日本人の死亡原因の第1位で、実に3人に1人ががんで亡くなっている。そんながんの治療には1日も早い発見が肝要だが、それが実に難しいがんがある。「すい臓がん」だ。
「すい臓がんは特に転移しやすく、私のような医師でも恐れているがんです。ごく初期の『ステージ1』で発見して治療しないと生存率は50%以下。しかし腫瘍マーカーは早期発見が難しく、初期で見つけるための腹部超音波検査やCT、MRIも高頻度で検査することは現実的ではなく、早期がんは検出困難です」慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット・特任助教で、北斗病院腫瘍医学研究所の医師でもある加藤容崇先生は語る。加藤先生はすい臓がんのスペシャリストでもある。
そんな中、すい臓がんをはじめ、最大7種のがんを手軽に検出できる画期的な検査方法が世界で初めて誕生した。Craif(クライフ)株式会社が開発した「マイクロRNA」を使った尿によるがん検査「マイシグナル・スキャン」だ。「マイクロRNAはがん研究において最先端の物質として注目されており、2024年のノーベル生理学・医学賞を受賞しております。その数は2000以上もの種類があって、細胞と細胞の間でやり取りされ、そのコミュニケーションを担っています。そして、がん細胞が放出した特定のマイクロRNAは、正常な細胞が作るものとは違うパターンとなります。このマイクロRNAを送り込まれた細胞ががん化します。Craifは、尿の中に出てくるがん細胞が放出したごく微量のマイクロRNAを検出する技術を開発しました。尿を採取して我々の元に送っていただくだけで、最大7種のがんリスクを約90%という高い精度で判定できる実に画期的なもの。それが『マイシグナル・スキャン』です」と、同社CEOの小野瀨隆一氏。
マイクロRNAを見る、マイシグナル・スキャン/マイクロRNAは細胞間のコミュニケーションを担う伝達物質。がん細胞は、周囲の細胞にマイクロRNAを送り込んで環境を作り変えることで増殖、転移する。よってマイクロRNAを詳しく見れば、がんの活動が早期からわかるのだ。
7種とは、すい臓がん、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、そして乳がんと卵巣がんだ。「すい臓がんを発見する検査には、MRI、CT、超音波検査の3種類がありますが手軽に受けられるものではありません。でも、この『マイシグナル・スキャン』ならば、ご自宅で簡単に受けられます。たとえ健康でも男性なら40歳過ぎ、女性はできれば30歳過ぎになったら、ぜひこのキットを定期的に利用してほしいですね」(加藤先生)
小野瀨氏がディープテック領域で起業したいと思ったきっかけの1つは、学生時代のアメリカ留学だったという。
「留学していた時、日本ではアメリカのようなプラットフォームビジネスは難しいと感じました。そして、日本はディープテックで勝負すべきだ、と思ったのです」
"ディープテック"とは、特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術のこと。特にその事業化・社会実装が実現できれば、国や世界全体で解決すべき課題など、社会にインパクトを与えられるような潜在力のある技術なのだ。小野瀨氏は大手総合商社を経て、共同創業者の東京科学大学の安井隆雄教授(当時は名古屋大学工学部 准教授)と2022年にCraifを起業。社名は長寿の象徴である鶴(Crane)と人生(Life)の言葉を重ねたもの。同社はコアテクノロジーである微量のマイクロRNAを検出する独自の技術を応用して検査サービスを開発。尿を利用したがんの早期発見と治療最適化で、誰もが生涯にわたって健康に過ごすことができる社会の実現を目指している。
マイシグナル・スキャンのキット。自宅で尿を採取したら、送付するだけ。また、検査前の食事制限は不要なのもうれしいポイント。検査後は、詳しい検査結果と解説冊子が手元に届く。価格は1回のみ69,300円、定期便64,300円~。共に税込。
「この検査は提携医療機関で受けることができますが、弊社のECサイトや提携ドラッグストアからでも検査キットを購入して尿を採取し、郵送で当社に送っていただく方法もあります。検査結果は3〜4週間程度でご確認いただけます」と、検査の手軽さを小野瀨氏は強調する。「マイシグナル・スキャン」がさらに素晴らしいのは、ハイリスクと判定された場合のネクストアクションが具体的であることだ。「がんに罹っている可能性が高いと言われても、それだけではどうすればいいか戸惑いますよね。でもこの検査は『病院のどの診療科を受診して、どんな検査を受ければいいか』ということまで、具体的にお知らせできます」と、加藤先生は語る。
現在、日本人のがん検診の受診率はわずか30〜40%。そのため、がんが発見された時点ではすでに手遅れという残念な場合も少なくない。「マイシグナル・スキャン」でそんなケースを少しでも減らしたい。ひとりでも多くの人が天寿を全うする社会を作りたい。それが加藤先生と小野瀨氏の目指すところだ。
Craifでは、マイシグナル・シリーズとして「マイシグナル・スキャン」のほかに、がん種は特定できないが全身のがんのリスクが約80%の精度でわかる「マイシグナル・ライト」、今の生活が自身のDNAに与えているストレスをモニタリング・予防につなげる「マイシグナル・チェック」という3種の尿検査キットに加えて、唾液から人の遺伝子を解析し、どんながんができやすい体質かを調べることができる「マイシグナル・ナビ」という4種の製品を発売している。また、単品での購入だけではなく、定期的に、しかもお得に行える3つの会員プランも用意。あなたの健康は、あなたひとりの問題ではない。マイシグナル・シリーズで、がんのリスクを把握し、身体的にも精神的にもストレスのない人生を、大切な家族や友人とともに謳歌したいものだ。
世界初、7つのがん種別に調べる尿中マイクロRNAがんリスク検査
「マイシグナル・スキャン」
1回のみ/69,300円 定期便64,300円~ ※共に税込・送料無料
現在の全身のさまざまながんリスクを手軽に調べることができる
「マイシグナル・ライト」
1回のみ/24,860円 定期便16,800円 ※共に税込・送料無料
がんの原因につながるDNAストレスをチェック!
「マイシグナル・チェック」
1回のみ/24,860円 定期便16,800円 ※共に税込・送料無料
何のがんになりやすいのか、自身の体質がわかる
「マイシグナル・ナビ」
1回のみ/28,600円(税込・送料無料)
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