インタビュー
写真・斉藤有美(人物)、大志摩徹(プロダクト) 文・渡邊卓郎
Photographs by Yumi SAITO,Toru OHSHIMA Text by Takuro WATANABE
株式会社ズイカインターナショナル代表取締役社長 田島伸浩さん。
「百年先もスキーができる環境を守ること。それが私たちの使命です」
株式会社ズイカインターナショナル代表取締役社長・田島伸浩さんはそう語る。そんな田島さんが手がけるブランドがZUICA。ウェアを通してマウンテンリゾートの魅力を広める役割を担っている。
長年にわたって培った知識と哲学、そしてものづくりへの妥協なき姿勢から生み出されるものは、スキーウェアという枠にとどまらない。
「健康寿命の維持」と「環境の保全」という2つのテーマに取り組むZUICAが生み出したのは、スキーアクティビティとマウンテンリゾートライフ、そして都市生活をシームレスにつなぐ「City to Snowウェア」という新しい概念である。
「『City to Snowウェア』はヨーロッパのリゾートスタイルを意識し、スキーウェアでありながら街中でも映えるデザインを追求しています。過去40年と今後20年のトレンドを分析したデータを基盤に、20年以上の経験を持つデザイナーが細部に至るまでこだわって開発を担っています」と、田島さんはそう語る。
マウンテンリゾート発の「City to Snowウェア」は、雪山の過酷な環境に耐える高機能素材を用いながら、都会にも馴染むミニマルで洗練されたデザインを実現。たとえばメンズジャケットはスーツの上から羽織っても美しく収まり、街中での移動にも快適だ。
さらに特徴的なのは、多彩なポケット機能である。クレジットカード用のスリムポケット、スマートフォン落下防止の工夫、大容量のタブレット収納、ペットボトルや水筒を収める内ポケットなど、従来のスキーウェアにはなかった発想が取り入れられている。
田島さんは言う。「年間数日しか雪山を滑らない人が、そのためにウェアを買うって大変ですよね。『City to Snowウェア』があれば、スキーシーンはもちろん、普段使いもできるので、アウターを何着も用意する必要がなくなることで環境配慮にもつながると思います」。
City to Snow Jacket(左)。雪山でも街でもシーンを選ばないジャケット。6色展開。88,000円(税込)、Oku-Shell Jacket(右)。アクティブなスノーシーンから街歩きまで快適に楽しむことができるジャケット。4色展開。86,900円(税込)
『ホテルグランフェニックス奥志賀』のラウンジ。
真っ白な雪の世界に足を踏み入れ、自然と呼吸を合わせることで身体の奥底から歓びを実感し、心に余白を取り戻す。マウンテンリゾートで過ごす特別な時間に寄り添うことこそ、ZUICAが目指す姿だ。
この理念を体現する場のひとつが、上信越高原国立公園に佇む『ホテルグランフェニックス奥志賀』である。1994年創業の同ホテルは標高1,500メートルに立ち、朝はゲレンデ、午後はプール、そしてサウナと露天風呂。夜は地元食材を活かした料理を愉しむという、自然と調和した時間の過ごし方を提案してきた。その文化の中からZUICAは誕生した。
田島さんは、マウンテンリゾートを「強制的なアクティビティの場」ではなく「多様性を尊重する時間」として捉える。スキーを楽しむ人もいれば、ラウンジで読書をしたり、音楽に浸る人もいる。思い思いに過ごすスタイルこそ、マウンテンリゾートの真の豊かさだと語る。
『ホテルグランフェニックス奥志賀』との連携は製品開発に直結するという。
「現場でのユーザーとの対話は、ものづくりに大きな影響を与えます。たとえばスキーを滑り終えた後にお客様からいただく『ポケットを数センチ上げるとターンがしやすくなりそうだ』といった意見も、即座に反映されるのです」
「ZUICAのウェアが海外の人々に注目されることで、長野や志賀高原への注目が集まり、地域創生につながることを目指しています」そう語る田島さん。
ファッション産業全体の温室効果ガス排出量は年間約12億トンとされ、その削減は解決が急がれる課題だ。
ZUICAの「City to Snowウェア」はリサイクル素材を積極的に採用しつつ、高い機能性とデザイン性を両立。そして、従来なら「タウンユース」「トラベルユース」「スキーユース」と3着必要だったものを1着で兼用可能にした。この「3着を1着に」という発想は、ものづくりの段階からCO2削減に直結している。
絶対的な機能性に環境配慮を重ね、さらにエレガントな空気を纏うZUICAの「City to Snowウェア」。「ヨーロッパの高級ブランドと同等の品質を目指しつつ、価格は抑えめに設定しています。高所得者層だけでなく、ジャパンブランドに関心を寄せる海外のお客様にも応えていきたいと考えています」。
アパレルブランドの枠を超え、ホテル事業と連動しながらマウンテンリゾート文化そのものを育むZUICA。
健康と環境という普遍的価値を柱に、ユーザーとの対話を基盤とする製品開発を続ける姿勢は、雪山を愛する人々に新しい楽しみを提示している。
Cygnus Jacket(左)。4Wayストレッチ素材の使用により、快適な着心地と動きやすさを実現。4色展開。88,000円(税込)
503 Quilt Jacket(右)。上品な光沢素材にゴム糸で凹凸のあるキルト加工を施したジャケット。2色展開。143,000円(税込)
Information
株式会社ズイカインターナショナル
長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬12377-6
TEL:0269-34-3611
https://zuica.jp/
上信越高原国立公園内の標高1,500メートルに立つ自然と調和したマウンテンリゾート『ホテルグランフェニックス奥志賀』から「ZUICA」は生まれた。
ホテルグランフェニックス奥志賀
https://www.hotelgrandphenix.co.jp
プロフィール
田島伸浩
Nobuhiro TAJIMA
1978年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。学生時代は競技スキーに没頭し、全日本選手権、国体、インカレ、インターハイなどに出場。卒業後はメーカーで営業・経営企画・マーケティングなどに従事、また海外勤務も経験。2019年にズイカインターナショナルに入社し、2021年にZUICA事業を立ち上げる。
2025/11/04 Interview
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「健康寿命の維持」と「環境の保全」をテーマとする、ZUICA 田島伸浩氏にお話を伺いました。