インタビュー
写真・栗林成城 文・根本 淳
Photographs by Shigeki KURIBAYASHI
Text by Jun NEMOTO
株式会社ブレインスリープ 代表取締役 廣田敦氏
すっきりとした朝の目覚めは、良き一日の第一歩となる。しかし多忙な日常においては、十分な睡眠時間を確保することはままならない。それほど時間に追われるような生活をしていないとしても、“日々快眠”というのはやはり難しいものだ。そもそも睡眠は人生の約3分の1を占めるといわれており、日々の良い睡眠にこだわることの意義は深い。良く寝て、良く起きる……シンプルだがこれが叶えば疲労回復も進み、体調とメンタル、両面でのコンディション維持が容易となる。さらには仕事におけるパフォーマンスに至るまで、好影響の連鎖が続いていく。
睡眠の質を決めるのは「黄金の90分」だった。
毎日の睡眠の「質」と「パフォーマンス」の向上をミッションとするブレインスリープは、社名のとおり、「脳」の観点から“最高の眠り”を追求する、進取の気性に富んだ脳と睡眠を科学するブランドだ。科学的知見とエビデンスに基づいた、独創的アイデアに溢れる様々なソリューションを発信している。若い企業ならではの情熱と柔軟性、そしてスピード感で、課題・難題を糧としながら、斬新なアイデアをカタチにしていく。そんなフットワークの良い挑戦の連続が、理想の枕「ブレインスリープ ピロー」を生み出した。
同社社長の廣田敦氏自身もその開発に携わり、多くの難題に挑んできた。「人は眠くなると手足が温かくなるため、体温が上がっていると思われがちです。赤ちゃんもそうですよね。しかし、それは眠りに向かうために“放熱”しているからで、人は脳や臓器の深部体温を下げ、手足の熱を放散しながら眠りにつきます。最初の90分間の睡眠をより深くすることで睡眠サイクルの質が向上するという眠りのメカニズムから、より速く、効率的に深部体温を下げて熱放散を妨げない「脳」を冷やすことをコンセプトにしたピロー開発をしました。そこで鍵となるのは、“枕に頭を乗せた際の温度と湿度の適正かつ迅速なコントロール”です。『ブレインスリープ ピロー』は90%以上が空気層というポリエチレン樹脂の立体構造を採用することで、熱や湿気が枕の中にこもることなく、しっかりと素早く脳を冷やすことを実現しました。結果、速く、深く眠ることに繋がります」
通気性の良い構造が、効率的に脳を冷やすことに貢献。
「ブレインスリープ ピロー」は、1つ作るのに、熟練の職人技による精巧な加工を必要とし、数十人もの“手”によって仕上げられていく。「製品設計と同時に、工場の選定にも大変苦労しました。私たちが考える理想の枕を実現すべく、全国の様々な工場を巡る中で、ようやく現在の大分県にある工場と出合うことができました。試作品も100を超えるほど何度もテストし、工場のスタッフの方と共に巡り着いたのが、縦方向に3層、横方向に7段階のグラデーションを配して、枕全体で滑らかに柔らかさが変わっていくよう、糸状のポリエチレン樹脂を三次元に組み合わせ、絶妙な弾力とフィット感を実現した特許取得の独自構造です。
このイノベーションによって、ポリエチレン樹脂の立体構造をもつ枕は、「黄金の90分」の深い眠りだけでなく、睡眠全体をサポートすることに成功。「人の頭の大きさ、形、重さは千差満別で、睡眠中の動作もそれぞれに違います。『ブレインスリープピロー』は、使い続けて約1週間で、頭の形状に加え、仰向け、横向き、うつ伏せ、寝返りと、お使いいただく方の睡眠の特徴に合わせてフィットしていきます」。
特許を取得した縦方向に3層、横方向に7段階の構造を持つブレインスリープ ピロー。
工業製品ながら、その完成には自然の恵みも寄与しているという。「複雑な構造を再現する卓越した技術力に加えて、不純物の少ない現地の超軟水も「ブレインスリープ ピロー」にとって欠かすことのできない、繊細な樹脂の加工を可能にしてくれています。工場では気候の変化も考慮に入れて微妙な調整を加えながら、製造を進めています」。
1週間使い続けると自ずと使い手の頭にフィットする。まるでオーダーメイドのよう。
理想の枕の懐はさらに深い。「衛生面でも優れています。枕内に汚れが溜まることがなく、簡単にふるい落とすことができますし、自宅のシャワーなどで洗えて、乾きも速い。さらに経年劣化にも強く、お湯(40〜50℃程度)をかければ、洗浄とともに樹脂の強度も復元されます。また、ポリエチレン樹脂は100%リサイクル可能で、地球環境にも配慮されています」。
使って古くなった枕は、同社が回収して再び新しい枕として製品にする。資源の循環モデルまで視野に入れたモノづくりとなっている。枕としての高い機能に加えて、メンテナンスも簡単で衛生的、そしてエココンシャス。プロダクトとしての隙が一切ないのも素晴らしい。
再生ポリエステル100パーセントのピローカバーがセットになった「ブレインスリープ ピロー」33,000円(税込)。
廣田社長は、“睡眠の質を改善していくことで、日々の生活はもとより、日本全体を元気にする”という大きなビジョンを持って事業に挑んでいる。
「個人の疲労やストレスの蓄積は、社会全体の機会損失に繋がります。ビジネスマンの方は、たとえ夜10時に就寝できても、朝ゆっくりというわけにはなかなかいきません。そのような生活サイクルでは、いかに効率的に睡眠の質を高めていくかが重要となります。少ない睡眠時間であっても、安定して深く眠ることができれば、翌日のパフォーマンスも向上し、組織や企業の生産性にも良い影響が出ます。それを広げていくことができれば、結果的に日本の経済が元気になる。私たちが手がける商品やサービスが、その一助になればと考えています」。睡眠においては「効率」を追求し、製品は技術と手間を惜しみなく注いで「理想」を追求する。その恩恵は実に多大だ。
廣田氏プロフィール
株式会社ブレインスリープ 代表取締役
廣田 敦
Atsushi HIROTA
2010年、化粧品会社に入社。ブランド戦略および広報責任者を経て、執行役員に就任。健康に直結する睡眠領域に魅力を感じて2022年株式会社ブレインスリープに入社し、同年11月、代表取締役社長に就任。
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