インタビュー
~日本ハムが20年以上の研究の末、記憶力維持に関する特許権を取得~
写真・栗林成城 文・片岡えり
Photographs by Shigeki KURIBAYASHI
Text by Eri KATAOKA
人口の3割が65歳以上という高齢化社会、日本。これからの日本人をサポートするのが、脳と身体の機能を支える〝イミダゾールジペプチド〞です。その機能性素材を20年以上研究する日本ハムの研究員の松浦倫子さんとリハビリ専門医の橋本圭司先生が、その可能性を深掘りしました。
松浦:まず、先生がリハビリで注力していらっしゃる、高次脳機能障害について教えてください。
橋本:高次脳機能障害というのは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの疾病や事故で脳を損傷した後に残る、集中力・記憶力の低下、言語機能障害などの後遺症です。不注意や落ち着きがないADHDやこだわりの強い自閉スペクトラム症などとも症状が似ています。認知症の始まりも、高次脳機能の低下からです。
松浦:高齢化社会は進み、他人事ではありません。認知症やアルツハイマーの治療には薬も使われますよね?
橋本:認知症になってしまったら、薬でも治すことは難しい。精神神経系の薬には眠気や神経疲労を誘発する副作用も。いち早く変化に気づいて予防するのがベストです。私が監修したオンラインの認知機能テスト「CogEvo」ならデータ管理も可能で、軽度認知障害(MCI)を早期発見できます。遺伝的要素があったり、ミスや物忘れが増えたと感じたら、予防の始めどきです。
松浦:予防法はありますか?
橋本:やはり運動です。「姿勢を整える」「深呼吸」「ストレッチ」「緑の中で30分の有酸素運動」を推奨します。
松浦:頭と身体にどんな相互作用があるのでしょうか?
橋本:話はシンプルで、脳にスムーズに酸素が供給されると脳の活動が活発になる。一番有効なのが運動で、勉強や脳トレより圧倒的に脳の血流が促進されます。
松浦:でも高齢者であれば、誰もがすぐに運動できるわけではなく、その前に健やかな体が必要ですよね。
橋本:特に認知症や高次脳機能障害があると、体の疲れを感じやすい傾向があります。疲労は筋肉だけではなく脳からも、という研究には私も共感しています。脳の深い部分の血流が低下すると疲労を感じやすくなるんです。
松浦:先生は、健やかな体を維持するための食事も指導されているとか。
橋本:まずビタミンB。ビタミンBは特殊な病態で健忘症の治療にも用いられることがありますが、通常それだけでは効果があるとは言えません。私が注目したのが、鶏ムネ肉などに含まれる〝イミダゾールジペプチド〞(以下、イミダ)です。
松浦:イミダは、私たちの脳や筋肉にも多く存在しますが、残念ながら加齢とともに減ってしまうもの。日本ハムのイミダの研究は1988年に抗疲労の分野からスタートし、2007年からは脳機能の研究もしています。
橋本:エビデンスもかなり積み上げていますね。
松浦:研究を進めるほど、様々な効果効能や研究成果が発見され、イミダで〝記憶力維持に関する特許権〞を取得するに至りました。
橋本:認知機能や筋肉疲労をサポートするなら、1日約250gの鶏ムネ肉が必要ですが、毎日続けるのは難しいですね。
松浦:イミダは毎日摂取することで筋肉中に蓄積することも知られています。私も鶏ムネ肉チャレンジをやったものの、5日で挫折。手間がかかるし味にも飽きてしまいまして……。
橋本:お忙しい方やご高齢の方にはさらにハードルが上がります。
松浦:日本ハムでは、「イミダを毎日楽しみながら気軽に摂っていただきたい」と、研究開発をしています。イミダを含む鶏肉エキス特有の臭いや味を改良したり、お子さまからご高齢の方まで、誰でも飲み込みやすい形状にしたり、果汁を加えて美味しく食べやすくしたり、低カロリーに仕上げたり。
橋本:ゼリーやドリンクは患者さんにも勧めやすいです。これを食べてから体を動かしてみてください、と。
松浦:実は私の母が60歳を過ぎて合格率約18%の介護支援専門員試験に挑戦しました。年齢と疲れによる記憶力・集中力の低下から点数が伸び悩んでいた母を応援したいと、試験前の3ヵ月間、イミダを毎日500mg摂ってもらえるようサポートしました。すると「翌日に疲れを持ち越さず、朝起きた時に頭が冴えて勉強に集中しやすい」とやる気もアップ。難度の高い試験に一発合格しました。
橋本:娘もイミダ成分愛用中です(笑)。
松浦:イミダは高齢化社会、ストレス社会に生きる老若男女に必須アイテムとなるでしょうね。
はしもとクリニック経堂 理事長 医学博士
橋本 圭司氏
はしもとけいじ/リハビリテーション専門医。昭和大学医学部リハビリテーション医学講座准教授。1998年東京慈恵会医科大学卒業。高次脳機能障害や発達障害の診療・研究に従事し、2016年高次脳機能専門の現医院を開院。認知症予防の重要性も説く。
日本ハム株式会社 中央研究所 研究員
松浦 倫子氏
まつうら のりこ/神戸大学大学院卒業後、日本ハム(株)中央研究所で機能性成分の研究開発に従事。お肉の成分に秘められた健康と美味しさへの探求を続け、脳や身体についての研究成果を取り入れた商品を生み出している。自社サイト(ニッポンハムミライヘルスLab)で定期的に健康情報や健康レシピ等も発信している。
お問い合わせ
日本ハム(株)中央研究所
029-847-7812
健康お役立ち情報サイト《ニッポンハムミライヘルスLab》
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