女子プロゴルファー スポンサーシップ記念
スペシャル対談
写真・永⽥忠彦 ⽂・根本 淳
Photographs by Tadahiko NAGATA
Text by Jun NEMOTO
若⼿⼥⼦プロとともに開催を重ねてきた「ダイナースクラブ カップ」。植⽵希望プロと⼯藤遥加プロとの個⼈スポンサー契約もスタートし、植⽵選⼿は初優勝を達成。「ダイナースクラブ カップ」から⽻ばたく⼆⼈に、今シーズンにかける熱い思いを伺った。
夢に向かって努⼒を重ね、挑戦を続ける若き才能たち。そんな⼀途な思いを、スポーツ、⽂化、芸術、芸能……多岐にわたるフィールドでサポートするダイナースクラブ。「ダイナースクラブ カップ」は、若⼿の⼥⼦プロゴルファーの活動を⽀援するプロジェクトとしてスタートし、毎回、トーナメント開催コースを舞台に、30名を超えるプロを迎えて開催されている。各パーティに1名ずつのプロが加わり、ダイナースクラブメンバーと18ホールをともにする。明⽇の⾶躍を期待される⼥⼦プロたちを応援する温かな交流の場として、プロ、ダイナースクラブメンバー双⽅から⼈気を集め、今年は関東⼤会に加えて、初の関⻄⼤会の開催が予定されている。
植⽵希望プロと⼯藤遥加プロが2022年シーズンからダイナースクラブと個⼈でのスポンサー契約を結ぶこととなったきっかけは、この「ダイナースクラブ カップ」への参加である。
植⽵プロ「スポンサー契約のお話をいただいてとても驚きました。そして、とても嬉しいです」
満⾯の笑みの植⽵プロは、第1回からすべての「ダイナースクラブ カップ」に参加している。第1回当初はレギュラーツアーでの賞⾦獲得はなく、活躍を夢みる選⼿の⼀⼈だったが、年々着実に⼒をつけ、昨シーズンは優勝⽬前の試合も経験。今シーズンはシード権を獲得し、レギュラーツアーにフル出場できることになった。
⼯藤遥加プロは、昨年12⽉に千葉県の「ザ・カントリークラブ・ジャパン」で開催された第3回が初参加。
⼯藤プロ「『ダイナースクラブ カップ』には以前から興味を持っていました。チャンスがあるなら、そして参加要項に『若⼿選⼿』が対象とあったので、急がなくちゃ!と思い(笑)、昨年、⾃分からぜひともとお願いして参加させていただきました」
⼯藤プロがゴルフを本格的に始めたのは⾼校⼊学時ながら、⾼い⾝体能⼒で18歳の夏にはLPGAのプロテストに合格。パワフルなスイングと⾶距離を武器に、シード権の獲得とツアー初優勝を⽬指す。スター性のある、溌剌とした明るいキャラクターも魅⼒の⼀つだ。
今回の両プロとの契約は「ダイナースクラブ カップ」にとっても、新たなフェーズへの前進を意味する。開催を軸として若⼿選⼿の活動を⽀援しながら、実績を積み、活躍が期待される選⼿とのスポンサー契約。よりリアルで有機的なサポート体制への第⼀歩といえる。
「ダイナースクラブにとっても初めてのことで、毎試合、楽しみにしております」
五⼗嵐幸司
三井住友トラストクラブ株式会社
代表取締役社⻑
五⼗嵐「これまで様々なジャンルを応援させていただいていますが、ダイナースクラブとして『個⼈』の活動をサポートするのは今回が初めてのことです。お⼆⼈のご活躍を期待しておりますが、新たなシーズンに向けていい準備はできましたでしょうか」
植⽵プロ「はい。昨シーズンはドライバーとアイアンショットに関しては満⾜のいくレベルにあったので、ショートゲームの精度を追求し、どんなライからでもしっかり狙えるよう、徹底的に強化しました。パターもいろいろ試していて、いい感触をつかんでいます」
⼼⾝ともに充実した様⼦で語る植⽵プロは、4歳からゴルフを始めたが(毎⽇練習)、並⾏して14歳まで⽔泳にも励んでいた(選⼿を⽬指し、週4⽇の練習)。男⼦選⼿並みといわれるタメの効いたパワフルなスイングは、⽔泳で培われた体幹の強さと、柔軟性、そして可動域の広さが貢献しているのかもしれない。植⽵プロ⾃⾝も、スイングのタメは⾃然とできていたという。
アスリートとしてのコンディショニング意識も⾼く、172センチの⻑⾝は全体のバランスが良く、しっかりトレーニングを積んでいることが窺い知れる。⾝体のケアにも努め、怪我をせずにシーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮することにも強く留意する。
「準備は整っており、⾃信もあります。そして初優勝の先も⽬指します!」
植⽵希望プロ
1998年⽣まれ。「⻩⾦世代」の畑岡奈紗選⼿や渋野⽇向⼦選⼿と同年齢。ショットメーカーを⾃認し、⽇本⼥⼦オープンが開催される紫CCすみれコースは恰好の舞台。メジャー制覇、そして⽶ツアー挑戦も視野に⼊れる。
⼯藤プロも⾝⻑171センチ、⽔泳、アイスホッケー、バスケットボールと多くのスポーツを経験した⽣粋のアスリート気質。元々は得意の英語を活かしてトレーナーになるのが夢で、ゴルフを始めたのもアスリートの気持ちがより理解できるようになるのではと、⽗親の助⾔があったからだという。その⽗親とは元プロ野球選⼿の⼤投⼿、⼯藤公康⽒である。
⼯藤プロ「⾃分の持ち味である⾶距離を活かして、パー5でバーディを多くとっていけるよう、このオフはドライバーショットのバリエーションを磨いてきました。低・中弾道を打つのは⾃信があり、⾵に乗せた⾼弾道でキャリーを稼ぐショットを多く練習しました。フェアウェイウッドも、より精度の⾼い球の打ち分けを課題としました。これまでパー5でレイアップする時、マネージメントもありますが、ピンのショートサイドに2オン狙いで打っていく技術と⾃信がなかったことも理由でした。⽗からもプロ選⼿である以上、観ていておもしろいプレーヤーになってほしいと⾔われています」
五⼗嵐「そういえば今シーズンはお⽗様がキャンピングカーを運転して試合会場を回られるという話を⽿にしましたが」⼯藤プロ「はい(笑)。⽗が現役、監督時代は私と顔を合わせるのも年に数回程度で、キャンピングカーは家族との時間を多く楽しむために⽗が準備していたものです。タイミングが合う時は、私の試合にも来てくれることになりました」
「やるしかないですね(笑)!期待に応えられるよう頑張ります」
⼯藤遥加プロ
1992年⽣まれ。パワフルな弾道と⾶距離で、ロースコアを叩き出す爆発⼒を秘める。趣味はバス釣り。ルアーのコントロール、竿のしなり、⾵の読み、どこに落とすかが、ゴルフに似ている部分が多いと語り、繊細な⼀⾯も覗かせる。
五⼗嵐「植⽵プロは、誰かからアドバイスを受けることはありますか?」
植⽵プロ「先輩や仲間に相談することもありますが、⾼校2年⽣からコーチにはついていません。基本、スイング作りも練習メニューも、⼀⼈で考えています。結局、最後に決めるのは⾃分で、⾃分で決めて⾃分でしたことであれば、すべて⾃分の責任。後悔も残りませんので」
五⼗嵐「素晴らしいセルフマネージメント⼒ですね。メンタル⾯でのトレーニングも意識されていますか」
植⽵プロ「以前は専⾨の先⽣についていましたが、1年前に『もう必要ないよ』と⾔われて(笑)。ミスは無理に忘れようとしません。忘れようとしても忘れられないので。試合中に⼼掛けているのは、しっかり集中すること。⼈間の判断⼒と集中⼒の持続は1⽇120分間ということを本で知りました。ゴルフは1ラウンド約5時間ですから、ボールを打つ時だけスイッチを⼊れるようにしています」
植⽵プロは、道具への関⼼も深い。
植⽵プロ「クラブの進化は⽬覚ましく、シャフトとの相性も気になります。クラブの性能を最⼤限に発揮するには、スイングを調整する場合もあるので、メーカーの開発スタッフの⽅とは新しいクラブのメカニズムについて、よくお話をさせてもらっています」
スイング作りにおいては男⼦選⼿も参考にしているという。実際に試合会場に⾜を運ぶこともあり、その際は双眼鏡が必須のようだ。
植⽵プロ「試合だけでなく、選⼿の練習を⾒るのも好きです。以前、『ZOZOチャンピオンシップ』を観戦した際は、タイガー・ウッズ選⼿の練習を双眼鏡でずっとチェックしました(笑)。今はオリンピックで⾦メダルをとったUSPGAのザンダー・シャウフェレ選⼿のスイングに興味を持っています」
“研究好き〟の植⽵プロにとっては、あらゆるプレーヤーがコーチとなる。
五⼗嵐「⼯藤プロはコーチは?」
⼯藤プロ「先輩⽅に相談することはありますが、私もコーチについていません。⽗はゴルフの技術については触れませんが、試合や練習に臨む姿勢についてアドバイスをくれることはあります。たとえば、1⽇4アンダーで上がってもそれに満⾜するのではなく、調⼦のいい時は10や12アンダーと、さらなる⾼みを⽬指して貪欲に攻めていくとか、上りのいいラインのアプローチ練習では、『寄せる』のではなく『⼊れる』練習をするとか……。今は、練習のための練習ではなく、ルーティンも含めて、試合と同じ気持ちで⾏うようにしています。⼩さなことにもこだわり、ぶれずに毎⽇コツコツと努⼒する⽗の姿を⼦どもの頃から⾒てきたので、いい刺激になっています」
五⼗嵐「お話を伺い、何よりお⼆⼈が⾃分⾃⾝に期待していることがよくわかりました。まずは怪我に気をつけて、充実したシーズンを送ってください」
⼯藤プロ「はい。アグレッシブに攻めて優勝を⽬指します!」
植⽵プロ「1勝だけでなく、どんどん勝てる選⼿になって、海外ツアーにも挑戦したいです」
笑顔とともに強い意志を秘めた視線で決意を語る両プロ。ツアーでは毎週、厳しい戦いが続いていくが、今年の「ダイナースクラブ カップ」でも、笑顔に彩られた報告を期待したい。
●コラム
植⽵希望プロ、KKT杯バンテリンレディスオープンで初優勝おめでとうございます!
本対談時に、優勝への意欲を⽰していた植⽵プロが、みごとに有⾔実⾏。2022年4⽉15⽇〜17⽇に開催された「KKT杯バンテリンレディスオープン」で念願の初優勝を果たしました。2時間を超えるプレーオフを制しての勝利は感動的でした。植⽵プロ、おめでとうございました。
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