インタビュー

未病や予防へのアプローチで、ペットのより良い暮らしを実現する

文・渡邊卓郎

Text by Takuro WATANABE

グローバルペットヘルステック企業A’ALDA Pte. Ltd.(アルダ)代表の奥田昌道さんと愛犬たち。写真・東谷幸一

「人とペットが幸せに暮らせる社会をつくる」ことを目標に掲げ、動物病院事業やペット事業を展開するアルダ。2021年にスタートしたペットの未病、予防を目的とした「ペットヘルスデザインラボ“Dyplus”」が、ペットのより良い環境と暮らしの実現を可能にする。

マイナスをゼロにではなく、プラスをつくるサービス

奥田さんは犬猫小動物の合計10頭のお父さんでもある。写真・東谷幸一

一説には旧石器時代からというほど、人と犬との共生の歴史は長く、深い。犬に代表されるペットは、少子高齢化が進む現代の私たちにとってますます重要な存在になっている。飼い主とペットが幸せに暮らすためには、双方にとって心地良い環境を整えることが何よりも大切なことだ。アルダが2021年から取り組んでいる事業の一つに、「ペットヘルスデザインラボ“Dyplus”」がある。

「動物病院では、病気だったり、ケガをしてしまった子を治療してマイナスをゼロに戻すことしかできないという現状があります。私たちがめざすのは、そもそもマイナスのない世界。マイナスではなくプラスをつくるということが、サービスの根幹の思想にあるのです。それを実現するのが、未病や予防に対するアプローチ。人間の世界でも未病や予防が大切だとわかっていても、実際には行動できていないことが多いですよね。ペットに対してもそうだと思うのです。この施設の特徴は、ワンちゃんたちが遊びに来つつヘルスケアも受けられるということです」

そう話すのはアルダ代表の奥田昌道さん。自社で日本最大級の動物病院グループを運営するほかに、「ペットヘルスデザインラボ」のサービスを行う施設として、現在、東京・西麻布の「Dyplus西麻布」と大阪・天王寺の「Green Field TENNOJI」、天満の「Dyplus大阪北」の3店舗を展開している。定期的なペットの健康管理や予防接種、飼い主の悩み相談、ペットケアの専門家がきめ細かく世話をするステイサービス、ドッグトレーナーによるマナーやフィットネス、上質なトリミングなどに加えて、「Dyplus西麻布」では理学療法士が常駐し、リハビリテーションのサービスも用意する。

「『Dyplus西麻布』と『Green Field TENNOJI』は動物病院ではありません。人間の世界でたとえると、小児科医師のいる幼稚園をイメージしていただけたらと思います。そもそも病気にさせない、ケガをさせないことに重きを置いています。ペットたちはここに遊びに来つつ、ヘルスチェックやバイタルデータを取ってケアされることになります。動物病院ではフィジカルケアが基本ですが、私たちは犬の心にも目を向けるべきだと考えています。人の社会でいうところの精神科医はペットの世界では存在していないのですが、たとえばドイツでは長時間、家で犬を放置すると、虐待と判断されて罰則があったりします。平均寿命が15年ほどの犬の1時間は、私たちの1時間とは等しくないはずです。そう考えると、長時間の留守番はとてもストレスがかかると理解できるのではないでしょうか?そういった意味で私たちのヘルスという定義は、フィジカルだけではなくメンタルも含めたものであり、心のストレスを軽減するには、これも人間と同様に考えると当然のことなのですが、飼い主以外にもペットのことを大切に考えてくれる人の存在や犬の友達が必要で、それらをサービスに反映しています」と奥田さん。ともに暮らすパートナーであり、言葉を発しないペットだからこそ、心のヘルスケアが重要になってくるのだろう。

「Dyplus西麻布」を利用する服部今日子さんと愛犬のマルくん。写真・広瀬美佳

「スタッフのみなさんにはプロフェッショナルな方が多く、犬の健康状態やしつけなどについても、ていねいにアドバイスしてくださいますし、何より一匹一匹に寄り添って接してくれているのを実感しています。うちの子はこれまで動物病院に行く時はものすごく嫌がったのですが、『Dyplus西麻布』ではものすごく喜んで店内に入っていくんですよ」

そう教えてくれたのは、犬を飼う前から奥田さんに犬種のアドバイスを受け、パートナーとなったヨークシャーテリアのマルちゃんを連れて「Dyplus西麻布」を利用する服部今日子さん。仕事などで長時間留守にする時に預けるほか、予防接種やトリミング、マルちゃんのしつけについても相談できる心強い存在だと服部さんは語る。服部さんのように犬をパートナーとしている人にとっては、犬と向き合いすぎない時間を持つことも、健全な関係性を保つためにも必要なことだろう。

外出が多い服部さんにとって、おとなしいヨークシャーテリアは最適な犬種と奥田さんがアドバイス。「走り回るのが好きな鳥猟犬の血統が強い犬種だと、服部さんにとっても犬にとってもストレスになっていたでしょうね」と奥田さん。写真・広瀬美佳

人とペットが幸せになれる社会を目指して

日比谷線の広尾駅から徒歩10分ほどに位置する「Dyplus西麻布」。今年の7月には「麻布台ヒルズ」にも新店舗がオープンする。写真・広瀬美佳

ペットの心のケアにも着目し、未病や予防の取り組みや理学療法士によるケアを取り入れるなど、これまで存在しなかった領域でのサービスを展開する奥田さん。自身がペットによって救われた経験を持つことから、ペットへの恩返しをしたいという思いが強く、人とペットとのより良い環境づくりに向けて多角的に尽力している。

「ペット業界には改善しなければならない点が非常に多いと思っています。病気を治す動物病院も必要ですが、そもそも病気にならないほうがいいわけですよね?動物病院とペットたちとの間に生じている溝みたいなポイントを埋めていくためのサービスに、試行錯誤で取り組んでいます」

今年7月には今話題の「麻布台ヒルズ」に新たな施設がオープンするそうだ。「Dyplus西麻布」同様のコンセプトで、ペットのパピー期からシニア期までをケアする。

遊具を使って運動したり、広いドッグランで遊んだり、犬たちにとって理想の環境が整う。写真提供:アルダ

「現状はペット業界だけでは何も変わらない。ペット業界だけの世界、ペットを飼っている人だけの世界を最適化するのではなくて、飼っていない人や苦手な人、興味がない人の中でも、普通に議論の対象となるような状態を作りたいと思っています。その意味では、ペット環境のウェルビーイングに一番起因するのが健康だと考え、健康に関わるデータや飼い主の満足度を高め、ペットと共生をする新しい社会の暮らしはこうあるべきと、業界のリーダーとしてしっかりと提言していくことで、私たちがめざす『人とペットが幸せに暮らせる社会』の実現に近づけるのだと信じています」

Dyplus西麻布

住所:東京都港区西麻布4-22-7
TEL:03-5464-1028
年中無休

Green Field TENNOJI (グリーンフィールド天王寺)

住所:大阪市天王寺区堂ヶ芝1-11-3 DSt桃谷ビルディングB1階
TEL:06-6775-2228

Dyplus麻布台(2024年7月オープン予定)

住所:東京都港区虎ノ門5-3-3 3階

【ダイナースクラブ会員限定優待】

Dyplus麻布台の新規オープンを記念して、先行内覧会や無料預かりトライアルキャンペーンをご用意しました。
期間:2024年7月15日~8月31日

①先行内覧会(7月下旬予定/日程についてはお申し込みの際にお伝えします)
②無料預かりトライアルキャンペーン(7月下旬~8月上旬)
③8月31日までに入会いただいた方に、プラズマ治療器を使用した歯健康プラン4回分をプレゼント

  • 先行内覧会および無料預かりトライアルキャンペーンは予約状況次第でご利用いただけない日程があります。
  • お支払いはダイナースクラブカードをご利用ください。ほかの方法でお支払いの場合は優待の対象外です。
  • ほかの優待、割引サービスとの併用はできません。
  • 本キャンペーンは予告なく終了または内容を変更する場合があります。オープン日の変動によって特典期間を変更する場合があります。
  • 優待提供元:Dyplus麻布台

A’ALDA Pte. Ltd.(アルダ)
奥田氏プロフィール

奥田昌道
Masamichi OKUDA

学生時代、自身が愛犬に救われた経験から、動物が人に与える影響の大きさに感銘を受ける。一方で、ペット業界には課題も多く、幸せになれない動物も多いと感じ、ペット業界に挑戦するベンチャー企業である株式会社PECOに参画。動画メディア事業やペット向け商材開発などに携わったのち、同社、海外子会社の代表を歴任。自身も10頭の動物と暮らす当事者として、ペット市場における世界的な課題と向き合い、人と動物が幸せに暮らせる社会の実現を目指し、2019年4月にシンガポールで A’ALDA Pte. Ltd.を創業。


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グローバルペットヘルステック企業A’alda Pte. Ltd. (アルダ)代表の奥田昌道さんへのインタビューをご紹介。