インタビュー
文・小野ゆかり
Text by Yukari ONO
「スペースシップ・ネプチューン」での宇宙旅行を日本で独占販売する株式会社クオリタ代表取締役社長、望月一徳氏。写真・永田忠彦
一度でいいから、宇宙から地球を眺めてみたい。これは誰もが一度は夢見る旅ではないだろうか。宇宙旅行が現実になってきた昨今でも、行ける人はごく限られた人のみ……だったのだが、そんな夢のまた夢の旅を現実に近づけてしまった企業がある。これまで数多の旅に革命を起こしてきたHISの子会社で高級な旅などを取り扱う「クオリタ」。自分事になってきた宇宙への旅の全貌を望月社長に語っていただいた。
「Space Perspective」は、世界初のカーボンニュートラルな宇宙飛行体験を提供する会社だ。
写真提供:Space Perspective
憧れの旅を現実に。日本で初めて格安航空券を販売し、創業当時、画期的なベンチャー企業として業界に革命を起こした旅行会社HIS。現在、その子会社で高級な旅などを取り扱っているのが「クオリタ」だ。あらゆるラグジュアリーな旅の手配を手掛けるが、革命児のDNAを受け継ぐクオリタのプレゼンテーションは、やはり、一味も二味も期待を上回る。同社が満を持して、現在手掛けているのが“宇宙旅行”なのである。望月社長は言う。
「HISが格安航空券の販売を始めた当時、それまでなかなか手の届かなかった海外旅行を多くの方に身近に感じていただくことができました。今回手掛けることになったスペース・パースペクティブ社の宇宙旅行体験はまさにその精神と共鳴するもので、日本での独占販売契約を結ばせていただく運びとなったのです」
その内容とは、SpaceBalloon™によってゆっくりと推進されるスペースシップ・ネプチューンで、約6時間の間、自転車の速度(約12マイル/時)で移動するというもの。
「宇宙旅行は、誰もが一度は夢見る旅の最高峰ではないでしょうか。でも、これまでは特殊な訓練が必要だったりさまざまな制約があったり、高額だったりで手の届かないものでした。スペースシップ・ネプチューンで行く旅は、これまでに前例のない宇宙へのアクセス方法で、特別な訓練も要らず、けっして安価ではないにせよ、自分事として捉えられる価格になっています」と、望月社長は語る。
スペースシップ・ネプチューンの仕組みとはこうだ。これまでさまざまな宇宙観測の手段として、NASAなどにより数十年にわたって安全性の確認がされてきたSpaceBalloon™を使用。世界初、カーボンニュートラルな方法で宇宙へと飛び立つ。気候の影響を受けにくいマイアミ洋上などから出発し、約2時間をかけて高度30キロの地点に到達。宇宙滞在時間は約2時間。その後、ゆっくりと2時間ほどかけて地球に帰還するのだ。
「ロケットを使用しないため、飛び立つ時に強いGを感じることがありません。そして、航行速度は自転車を漕ぐ程度の速さです。商業用の旅客機と同様に、スペースシップ・ネプチューンは気圧が調整されたカプセルのため、宇宙服も不要。皆様のお好きな服装で乗っていただくことができます。また、これまでの宇宙旅行では、行けたとしても滞在時間が非常に短かった。2時間という十分な時間で宇宙を体験できるのは、スペースシップ・ネプチューンだけなのです」
つまり、ハードルの高い各種の条件もなく、何ヵ月もの訓練を受けずとも、高額な資産を投じなくとも行ける宇宙旅行時代がやってきた、ということだ。
まるでホテルのラウンジのような船内。青い地球を眺めながらドリンクと食事を楽しめる。
宇宙船といえば、煩雑な機材に囲まれた無機質な空間を想像してしまうが、スペースシップ・ネプチューンの船内はまさにラグジュアリー空間そのもの。豪華な客席にバーカウンター。高性能の音響システムに、スクリーンに映し出されたフライトデータが宇宙旅行を盛り上げる。そして何とWi-Fiまでが完備されているという。全方位に開口部を広く取られた窓からは、地球を、宇宙を、存分に眺めることができる。
「定員は最大8名。それに地上のミッション・コントロールとのやり取りをするキャプテンが乗船します。風の影響などにより、飛行機同様、離着陸時はシートベルトを着用していただくことになりますが、飛行が安定すればカプセルの中を自由に歩き回ることもできます。また、非常に洗練されたプライベート空間になっており、お食事やドリンクのサービスも。食事は宇宙食ではないんです(笑)。せっかくの宇宙旅行ですから、最高のお酒やお食事を味わいたいと思われるお客様も多いことでしょう。さらに、特筆すべきはWi-Fiを完備していること。感動体験を生配信したり、地上にいる人と共有したり、スペースシップ・ネプチューンならそんな夢も叶えられるんですね」
最初のフライトは2025年に打ち上げられる予定。発表と同時に問い合わせ、申し込みの反響は大きく、来年度のフライト分はすでに完売しているという。
スペースシップ・ネプチューンの最大のメリットの一つは「スペース・スパ」が完備されていること。6時間のフライト中もトイレの心配なく過ごせる。
「体への負担が少ないことに加え、船内には『スペース・スパ』と呼ばれるトイレも完備。実は、宇宙空間でトイレを使用できるというのも特別なことなのです。これまではオムツを着用しなければ宇宙へは行けなかったですから。発表後、90歳になるお客様からのご相談もありました。たとえば車椅子をご利用の方でも、普通に飛行機に乗れる健康状態でしたら宇宙へ行っていただくことができる。価格帯のみならず、年齢やさまざまな面からも、宇宙旅行へのハードルが低くなった企画となっています」
スペースシップ・ネプチューンは海洋宇宙港「ボイジャー」(海洋)もしくはフロリダ州スペースコースから打ち上げられる予定。打ち上げから着陸まではおよそ6時間の旅だ。
「宇宙から地球を眺める。小さい頃から夢見ていた旅の企画は、私自身、非常にワクワクするものがありました。旅の醍醐味とは、まだ見たことのない世界を探訪し、味わったことのない感動を体験すること。大きな窓から小さくなっていく地球を眺めたり、頭上に広がる宇宙を体感したり、そして、その光景を眺めながら美味しいお酒を味わったり。そんなことが人生の中で体験できたなら、間違いなくけっして忘れ得ない思い出となるでしょうし、人生観も変わるでしょう。クオリタは、そんな未来を提供しようと冒険と挑戦を続けてまいりました。宇宙旅行を手の届くものにする……お客様の壮大な夢の実現のお手伝いをさせていただけること自体、我々の夢だったのです」
ちょっと宇宙まで……そんな時代がやってきた。いつだって先駆者たちの試みは、私たちの世界を予想を超えた豊かさへと導いてくれる。新規の予約受付は2027年度分から可能だという。さらに、早期フライトの優先予約待ちリストは、デポジットを支払うことで利用可能。さて、そろそろ本気で宇宙旅行への算段をする頃合いなのかもしれない。
特別な訓練も要らない宇宙への旅が始まろうとしている。現時点でのフライト料金は125,000USドル(おひとり様あたりの乗船権/現地までの往復フライトや宿泊代は別途)。
気球型宇宙船「Neptune」乗船説明会
株式会社クオリタでは、気球型宇宙船「Neptune」乗船説明会を随時行っています。
説明会では公式代理店クオリタのスタッフが、宇宙船「Neptune」による旅行体験を安全性や独自性の観点からご紹介します。
説明会の開催状況は専用ページでご確認ください。
https://www.qualita-travel.com/special/EdgeOfSpace/event.html
お電話でのお問い合わせ:
クオリタ新宿店:050-1746-3879
株式会社クオリタ
望月氏プロフィール
望月一徳
Kazunori MOCHIZUKI
埼玉県出身、2003年株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)入社。約20年間法人旅行事業に従事し、2023年に子会社である株式会社クオリタ代表取締役に就任。幼少期からワクワクする事が大好きで、誰も見たことがない景色を見たいという想いがあり、憧れの宇宙旅行への従事は夢の一つだった。
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