インタビュー

炎にたどり着いたデザイン
空間を彩る最新鋭の
壁掛け式ガス暖炉

写真・永田忠彦 文・鈴木 行

Photographs by Tadahiko NAGATA Text by Gyo SUZUKI

FLRAMEプロデューサーの北村和康氏

FLRAME(フレイム)は、「炎を飾る」をコンセプトにしたスタイリッシュな壁掛け式ガス暖炉。煙突や配線工事を必要とせず、ガスコンセントに接続するだけで設置できるため、空間を選ばない。FLAME(=炎)と、FRAME(=枠)を組み合わせた造語のブランド名どおり、壁に掛けられたコンパクトなガラスのフレームに本物の炎が浮かび上がる姿は、アートピースを見ているような気にさせられる。温風にガス臭さはなく、頻繁な換気の必要もない、今までのガスストーブのイメージを一変させる画期的なプロダクトだ。

FLRAME標準仕様のブラックガラスのモデル。オプションでカラー・素材を変更することができる。(写真提供:FLRAME)

「炎を飾る」コンセプト
ジャパンオリジナルへの取り組み

その物語は5年前に始まった。それまで北村氏は、英国王室御用達の老舗暖炉メーカーであるESSE社の代理店として10年にわたり「FIREWALL(ファイアーウォール)」という壁掛け式暖炉を販売してきたが、2021年、突然の生産中止の報を受ける。しかし継続的なユーザーの購入希望に応えるため、「日本版ファイアーウォール」の製作を模索。「ESSE」「FIREWALL」の名称を使用しないことを条件に製作の許可を得て誕生したのが、このFLRAMEである。

その当時、北村さんの頭の中には、すでに「日本オリジナルのものを作ろう」という考えがあったという。

「当時の英国はエコロジーへ傾斜していて、ガスは過去のもの、これからは薪ストーブの時代だという、逆行するような流れになっていました。ロシアのウクライナ侵攻もあって、ヨーロッパへのガスが遮断されたことも影響したのだと思います」

こうして念願のジャパンオリジナルへの取り組みが始まる。しかし、試作品はデザイン・機能性の両面で満足できるものではなかった。製品の部材は、燃焼室のボディとバルブ、触媒、鉱石、ガラス、バックボード、ガラステープから、塗料、塗装にいたるまで多岐にわたる。その一つひとつに妥協せず、検証を重ねた結果、ローンチまでほぼ3年の月日を費やすことになる。

そこには、住宅の設計から空間デザインまでを手がける北村氏の一流の流儀があった。「美しい炎で空間を魅了する」ことへのこだわり。炎の色や形を追求する習慣のなかった業界とその思いを共有化することから始め、現在では協業社は十数社に上る。

富士河口湖のグランピング施設の設置例(写真提供:FLRAME)

美しい炎のセンスと自社開発へのこだわり

「額縁で絵の印象はずいぶん変わりますよね。私はふだんから絵を描いている関係で、『炎』も『枠』次第で違った見え方になると感じていました」

炎を意味するフレイムと、枠や額縁を意味するフレーム。LとRが重なったブランドロゴにも表現されているように、「炎」と「枠」の出合いは、インテリアとしてのデザインセンスと美学に貫かれたプロダクトをもたらした。しかし開発はデザインに留まらず、ガス暖房器具では付きものの一酸化炭素の排出もゼロにするという、無謀とも思える挑戦が待っていたのである。

「炎の美しさを保ちながら、一酸化炭素を出さない。このバランスがもっとも大切でした。ノズルを0.01ミリ単位で調整しながら、バーナーの角度や空気量を何度も検証しましたが、角度とか空気量のちょっとした違いで、炎はまったく違った顔になります。当時の英国時代の製品はややのっぺりした炎でしたが、それを立体的に、焚き火の炎のように立体的に見せたかった。それをこの薄さ(16センチ)の中でどう表現するかが難しかったですね」

炎の輻射に合わせ、セラミックボードで遠赤外線を反射。自然排気でトップから温風を排出し、発生する熱量の100%を暖房に利用。木造建築で10帖、コンクリート建築で12帖分を暖めるが、遠赤外線の輻射熱により、一度部屋が暖まると規格以上の温もりが感じられるという。

「たとえば、裏側に自社開発のセラミックの石が入っていて、遠赤外線だけを反射する塗料が練り込まれています。それで輻射熱の効果を倍増させることに成功しました。さまざまな企業と話し合いましたが、協業社の方々は今までよくついてきてくださったと思います。やはり日本でこれをすべて作り上げたいっていうのがあって、セラミックボードなど炎に直接当たる部分は自社開発ですし、触媒を除けば、ほぼジャパンオリジナルの製品です。ボディは、70年から孫の代まで持つように作っています。私は古民家再生なども手がけていることもあって、次の世代に受け継がれるものをコンセプトに、細部を検証していったのです」

リビングの壁にタイル張りの下地を設け設置(写真提供:FLRAME)

炎がもたらす癒しと環境への深い配慮

FLRAMEの炎を覆う正面のガラスには、安全性を配慮し、炉にも用いられる超耐熱結晶化ガラスのネオセラムが採用されている。さらにスモークガラスの裏側に、黒色の特殊印刷を施すことで、ゆらめく炎をクリアに見せる気品ある漆黒のガラスを生み出している。炎が空間に与える効果は、固定された絵画と異なり、暖炉の薪の炎のような動的な安らぎと癒しをもたらすが、この「炎をデザインする」途上で、思いもよらない副次効果をもたらすことになる。

FLRAMEから排出される温風は、キャタリティックコンバスターシステムという未燃焼ガスを燃やし切る触媒技術によりクリーンな状態で排出されるため、ガスの臭いはない。さらに驚くことにウイルスを除去する効果も正式に確認されている。一般財団法人 北里環境科学センターでのウイルス除去性能評価試験によれば、90分間の運転で、浮遊ウイルスを減少率97%まで除去する結果が報告されている。空気をクリーンに保ちながらフィルターの交換の必要もなく、電気を一切使用しない自然対流式のガス暖炉でありながら、ウイルス除去効果を併せ持つ、きわめてユニークなプロダクトなのだ。

パイロット点火方式で容易に着火する簡易な操作性もまたFLRAMEの特長だろう。炎が消えガスだけが排出され続けることを防ぐ「立消え安全装置」と、室内の酸素濃度が少なくなると自動的に消える「不完全燃焼防止装置」の2つの安全装置を搭載。フレームのブラックガラスは高温にならず、子どもやペットのいる家庭でも安全に使用することができる。

設置はガスコンセントがあれば容易に接続可能。都市ガスとLPガス双方のガス種に対応している。ガス配管の延長工事を行ったとしても長期的なスパンで見ればコストパフォーマンスも優れている。施工面のコストは、設置場所によって異なるが、背面にはヒートシールドが装備され、伝統工法で建てられた土壁にも設置することができる。

古民家のリノベーションに合わせ統一感を持たせた施工例(写真提供:FLRAME)

兵庫・芦屋の個人邸。独立した間仕切り壁に設置した施工例(写真提供:FLRAME)

ランボルギーニとのコラボレーション

現在、北村氏が手がけているのは、イタリアの高級セラミックブランドのLAMINAM(ラミナム)社がアウトモービリ・ランボルギーニとのコラボレーションで開発した大判セラミックタイルを用いた別注のフレームである。特別仕様のモデルが今秋に展開予定だ。

「ラミナムは、イタリアの高級セラミックメーカーです。建築やインテリアデザインの分野で世界的に広く採用されていて、そのラミナム社がランボルギーニとコラボレーションしたセラミックタイルをフレームに使ってみたいと思っていました。天然大理石をモチーフにした1.2×3メートルの大判サイズが原型で、光の当たり方でランボルギーニのデザイン意匠が浮かび上がります。これを用いたFLRAMEの特別仕様モデルをこの秋に展開する予定で、さらに点火プラグも特別な、たとえば車のイグニッションのような仕掛けがあったら、かなり面白いんじゃないかと考えています」

ランボルギーニ仕様のセラミックタイルのラインナップには、ダイナミックな動きを感じさせるTUMULTUS(トゥムルトゥス)、静寂や洗練をイメージさせるSILENTIUM(サイレンチウム)、深い奥行きと幾何学模様のTEMPESTAS(テンペスタス)などが用意されている。この特別な意匠のタイルと漆黒のガラスに浮かび上がる炎の組み合わせが、いかなるラグジュアリーなニュアンスをまとうのか、その新たな世界観に注目である。

【FLRAMEが体感できるイベント】

~家具と炎、そして絵画が贈る~
「後世へ継ぐ、暮らしのマスターピース」展

日時:2026年11月21日(土)~23日(月・祝)11:00~18:00
会場:LIGHT BOX GALLERY
東京都港区南青山5-15-9フラット青山103(表参道駅徒歩約8分)
https://www.lightboxstudio.net/studios/light-box-gallery

  • 11月21日(土)14:00~ FLRAME ランボルギーニ仕様 ローンチ トークイベントが予定されています

神戸市のヘッドオフィスの3階、マントルピースの上に設置されたFLRAME(LAMINAM・ランボルギーニモデル)のプロトタイプ

洗練されたデザイン意匠が浮かび上がるイタリア、ラミナム社のランボルギーニ仕様のセラミックタイルのサンプル

「炎をデザインする」空間の美学

「炎を飾る」という新たな発想から誕生し、環境への深い配慮と美意識に根ざしたFLRAMEの開発ストーリーを貫いているのは、「美しい炎で空間を魅了する」ことを志向し続けた北村氏の、住環境とスペースデザインへの強いこだわりである。

「私たちは本業としてインテリアデザイン、建築デザインをやっていて、その中でずっと、炎のある空間というものを大切にしてきました。薪ストーブであったりとか暖炉だとしても、マンションだからできない、賃貸だからできないではなく、どの家でも『炎がある』『豊かな暮らしができる』ことは、そこで人とのコミュニケーションが生まれたりする。モノ以上の大切なものがそこにあると信じてきたからです」

電気を一切使わずに、自然対流で効率的に空気を循環させる温もりに、ウイルス除去効果をプラスし、さらにf分の1ゆらぎの美しい炎で癒し効果を生み出すユニークな壁掛け式ガス暖炉。日本の住環境とインテリア空間のニーズに応えるべく、ゼロから設計し直されたジャパンオリジナルのプロダクトは、世界基準を満たし、確固たる存在感を放っている。

FLRAME

形式名:FLRM-01 材質:ガラス
サイズ:W61.5×H79×D16㎝ 重量:24kg
ガス種:都市ガス(13A)/LPガス
暖房能力:コンクリート造12帖/木造10帖
ガス接続:ガスコード 迅速継ぎ手
立ち消え安全装置・不完全燃焼防止装置付き
燃焼方式:ブンゼン式 給排気方式:開放式
点火方式:電圧スパーク/パイロット点火方式
不燃物との距離:上部100㎝/下部・側面20㎝
(カーテンなどの可燃物がある場合は50㎝)
必要備品:ガスコードとガス栓(電源不要)

標準小売価格957,000円(税込)
LAMINAMタイル仕様(グレー、ホワイト)1,067,000円(税込)


Information

FLRAME株式会社
ヘッドオフィス/ショールーム
兵庫県神戸市中央区中町通4-1-15
Tel:078-367-7687
https://flrame.jp


TOKYOオフィス
東京都港区南青山2-15-5 FARO青山1F
Tel:0120-707-687

展示店舗:
LAMINAM東京ショールーム
https://www.laminam.jp/show-room/
トーヨーキッチンスタイル東京ショールーム
https://toyokitchen.co.jp/showroom/tokyo/Tokyo-Showroom


プロフィール

北村和康
Kazuyasu KITAMURA
FLRAMEプロデューサー

1973年兵庫県生まれ。建築・インテリア・プロダクトデザイナー。FLRAME株式会社、株式会社TBJ DESIGN OFFICE代表。古民家、店舗、新築・リノベーション住宅の設計デザイン、プロダクトデザインまで手がける。


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「炎を飾る」という新発想から生まれた壁掛け式ガス暖炉「FLRAME」北村和康氏にお話を伺いました。