Fashion

レースが描く
強さとフェミニティ

主題はフリーダ・カーロ。メキシコを代表する20世紀現代美術の女性画家をインスピレーション源に、ディオールの2024年クルーズ コレクションは展開していった。

フリーダが好んで着用し、またメキシコの伝統的民族衣装であるダンス衣装を反映したドレスやスカートはフルレングス。会場の旧サン・イルデフォンソ学院を背景に、強さとフェミニティが一体となったコレクションは圧巻だった。

モノトーンのドレスは、交互に配したホワイトとブラックのギピュールレースの重厚な美しさが浮き彫りとなる逸品。タックを寄せたウェスト部分にブラックレースを乗せ、そこを起点にフィットしたトップと贅沢に広がるギャザーが劇的なコントラストをなす。ベースの漆黒のウールシルク地をキャンバスに、レースの伝統的な優雅さを丁寧に描いていったのだ。

ドレス内側ウェスト部分はグログランテープでしっかりと留め、女性の仕草や動きで揺れるギャザーの儚い一瞬一瞬の変化を逃さず優美に伝える。フォルムからディテールまで、ドレス全体に行き渡るディオールのアトリエの巧みなテクニックに魅せられる。

コレクション会場はフリーダ・カーロが学び、夫のディエゴ・リベラと出会った場でもあった。フルレングスのドレスに対をなすように、フリーダが19歳から着用した男性用スリーピースを彷彿とさせるマニッシュスーツも登場。このドレスはランウェイではウェスタンブーツを合わせ、意思の強さを象徴的に表現していた。

ドレス 2,100,000円(税込)

写真・大志摩 徹 文・松尾千鶴子

DIOR

ディオール(クリスチャン ディオール)
フリーダイヤル0120-02-1947

*掲載情報は2024年1&2月号掲載時点のものです。

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