Fashion

今季スタイリングを彩る
ブランドのヘリテージ

写真・大志摩 徹 文・松尾千鶴子

Photograph by Toru OSHIMA

Text by Chizuko MATSUO

襟元を閉じる一本のピン。ロロ・ピアーナの秋冬コレクションではこのピンが多用されていた。

ジャケット生地はニュージーランド産ダークカラーのメリノウールのみを使用した独自のペコラ・ネラ®テクスチャード。染色せず、多彩なブラウンを組み合わせて織り、立体的な風合いを作り出している。

本来はテーラードカラーのジャケットだが、閉じたラペルと立てたカラーがカジュアルな一面を引き出している。

かつて一族の継承者セルジオはジャケットの襟の折り目の柔らかさを保つため、襟を立てピンで閉じて収納したという。今季の着こなしのヒントはここから。

そしてピンのトップを飾るのはカルド(アザミ)の花。これはカシミヤの起毛とブラッシングで用いたものであり、ロロ・ピアーナの紋章のモチーフでもある。このピンが象徴しているのは最高級ファブリックのしなやかさとサルトリアルの伝統技法に倣った精緻な仕立てだ。

極上の生地もサヴォワフェールの技術もブランドの歴史が大切に育んだもの。今回の現代的なスタイリングはヘリテージへの熱い想いと眼差しから生まれたのだった。

メンズジャケットの生地はロロ・ピアーナのペコラ・ネラ®テクスチャード。そこに独自開発のレインシステム®加工で撥水性も加えている。襟裏にメルトン、フロントはごく薄い芯地、ラペルにミシンでステーキング……と、数々の繊細な仕様にサルトリアルの特徴が表れている。

ジャケット713,900円、
セーター(参考色)291,500円、
ピン55,000円(すべて税込)

お問い合わせ

ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ ジャパン)
電話03-5579-5182

*掲載情報は2024年10月号掲載時点のものです。

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