Fashion

繊細なドレスに秘められた
奥深いストーリー

写真・大志摩 徹 文・松尾千鶴子

Photograph by Toru OSHIMA

Text by Chizuko MATSUO

レースのタンクドレスの色はアンティークローズ。その上に重ねたオーガンザのドレスは淡いエメラルドグリーン。

レディなレースのドレスをまるごと覆ったノースリーブドレスは40年代のナースのユニフォームに見られるようなデザインから引用。真逆の性格のドレスを重ね合わせることで色彩は微妙に変化し、それぞれのドレスの本来の意味合いも曖昧になる。

つまり、着る人の個性、着るシーン、着る季節まで超えて、いかようなコーディネートも受け入れる寛容さを備えたということだ。

今回のメゾン マルジェラ「アヴァン・プルミエール」コレクションの中では色も素材も最も繊細なドレスだが、メゾンのコードはここにもしっかりと反映されていた。

それがオーガンザドレスのポケットの「メモリー・オブ・ザ・クリーシーズ」。

懸命に働く人が着る服のポケットには使い込んだシワ(クリース)が現れる。このシワを表現するため、ポケットのパターンを歪めてカットし、縫い付けていたのだ。

ジュエリーカラーのドレスに込められた物語は奥深く、その本質はどこまでも女性に優しく美しい。

アンティークローズのレースドレスの上で、オーガンザドレスのタックやポケットが作る濃淡が軽快な表情を生み出している。ほかにオレンジレース×ピンクオーガンザ、ブラックレース×ブラックオーガンザの組み合わせもあり、すべてライニングが用意されている。

ドレス 591,800円(税込)

お問い合わせ

メゾン マルジェラ(マルジェラ ジャパン クライアントサービス)
フリーダイヤル0120-934-779

*掲載情報は2025年8月号&9月号掲載時点のものです。

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