今月の一皿

カリッ&とろ〜り

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

Photographs by Masahiro OKAMURA(Crossover)

Text by Tomoyasu SHITAYA

2024年に独立開業したイケメンシェフのフレンチ。いつの間にか定番となっていた温かい前菜は食感と味のハーモニーを楽しんで

東京の代官山は、ニューヨークのブルックリンみたいなおしゃれな街並みが続く。少しそこを外れて5分ほど並木橋方面に歩くと、『Yd'or(イドル)』への階段が見つかる。

この一風変わった店名は「フランス語で"行ったことがある場所"と"黄金"を組み合わせた造語で、人々が高揚感を持ち集う特別な場所という意味を込めています」とオーナーシェフの金川大輝さんが教えてくれた。

金川さんは東京『ライラ』、フランス・ノワールムーティエ島の『ラマリーヌ』などで修業した後、2024年にここをオープンした。若いシェフだが経験豊富で真面目な人だ。

料理はフレンチのクラシカルなスタイルを残しつつ、吟味した食材の良さを引き出すスタイル。細やかで繊細な半面、大胆でアグレッシブな挑戦が見え隠れする。

「今月の一皿」に選んだのは「ウズラのコルドンブルー」。コルドンブルーとはフレンチの伝統的な調理法だが、金川さんは仔牛の代わりにウズラを使う。ウズラのいいところは淡白で主張しない味。だからそこにカマンベールと生ハムを合わせ、バランスを取る。それにつける衣は企業秘密だそう。

カリッと揚がったウズラを豪快に手でかぶりつくと、チーズのとろけ具合と肉の弾力がまさにカリッ&とろ〜りで一気に食べられてしまう。この後の料理に否が応でも期待が高まる。

「キハダマグロのニース風サラダ」は、和歌山の串本で獲れたキハダマグロに少し火入れし、アンチョビ、ケッパー、玉ねぎなどを使ったソースに温泉卵をくずして、フレッシュな野菜と一緒にいただくスタイル。

メインは「菊池源吾牛」という熊本県菊池市で育てられる珍しいブランド牛のロースト。熊本出身のシェフだけあって、故郷の食材推しなのだ。

オーナーシェフ 金川大輝氏

カウンターメインの店はシェフとの距離も近くて大好きだが、ここには使い勝手のいい個室があるのもうれしい。これまでは秘密の場所だったが、すぐに予約困難店になること間違いない。

Yd’or

料理はもちろんだが、最後のデザートのアイスクリームはなかなか凝っている一品。宴を締めくくるのには最高だ。夜のコースは22,000円ほかに、平日限定で11,000円、16,500円のコースもあり。日曜のみのランチは8,800円(共に税込・サービス料なし)。

住所:東京都渋谷区猿楽町3-9 アヴェニューサイド代官山1 2F

電話:03-6768-9446

営業時間:ランチ12:00~一斉スタート(日曜のみ)、ディナー19:00~23:00

不定休

*メニュー等は取材時のもので、季節によって変更となる可能性があります。
事前にお店にご確認ください。

*掲載情報は2026年1月号掲載時点のものです。

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下谷友康さんが綴るコラム【今月の一皿】。今回は「カリッ&とろ~り」。