今月の一皿
4つの味で東京スタイル

写真・栗林成城 文・下谷友康

Photographs by Shigeki KURIBAYASHI

Text by Tomoyasu SHITAYA

処暑も過ぎ、灯火親しむ頃、東京・港区麻布十番の商店街から一本裏道に入った辺りに、「艶」という言葉が一番しっくりくる新しいレストランが誕生した。通り沿いの入口には看板もなく、ともすれば通り越してしまいそうな場所だ。

しかし、一歩店内に入れば妖艶な雰囲気に圧倒される。大きな窓からテーブル越しに見える水路の灯りを見ていると、周りから遮断されて自分たちだけの世界に入り込める。そんな場所だ。

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オーナーの相澤ジーノさんが、「レストラン×ファッション×アートがコンセプトです」と、相好(そうごう) を崩す。たしかに、この店のために描かれたシンボリックな大きな壁画や、赤を基調としたなんともエロティックな店内、そして大人の色気漂うオーナーとで、食事の時間が盛り上がること間違いない。

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アミューズが盛られている和テイストだけれど、モダンな皿は、実は何種類もあるので相当通わないと同じものに巡り合えない(笑)。
まずは、それに載せられた「ピスタチオ豆腐」とドン ペリニヨンのペアリングでスタートする。アルコールペアリングは、食事の楽しさを倍にしてくれるのでおすすめだ。
続く「八寸」のヒイカとシマアジは、黄身和えの味噌パウダーと脂ののった魚介に合うスペインのモホソースを絡めている。

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さて、肝心の「今月の一皿」は、大井健司シェフのスペシャリテ「鮑」だ。ふくよかな鮑は肉厚で弾力があり、濃厚な肝ソースによく合う。
ほとんどの食材は、その日一番のものを直接生産者から仕入れているため、外れがない! そして鮑が器からなくなった後、大事な肝ソースの残りに別の器で供されるパスタを絡めて食べる。このパスタは、鳴門のワカメを練り込んだという代物だ。

イタリアン、フレンチ、スパニッシュ、和食と4つのジャンルを経験した大井シェフだからこそできる、ここだけの“フュージョン"。「垣根を壊して、東京でしか食べられないものをつくる。何料理でもない『クラージュ』を目指す」。そんな相澤×大井ワールドは、今、始まったばかりだ。

クラージュ

4つのジャンルを取り入れた料理は、新感覚の連続。大井シェフは、そんな独自のスタイルを「東京キュイジーヌ」と呼ぶ。 コースは約10皿で16,200円。ドン ペリニヨンでスタートするアルコールペアリング(12,960円)のほか、ティーペアリング(7,560円)もある。

*価格はすべて税込み。

住所:東京都港区麻布十番2-7-14

電話:03-6809-5533

営業時間:17:30~23:00(L.O.21:00)

日曜・祝日

*掲載情報は2018年10月号掲載時点のものです。

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