今月の一皿

センスが光る
メニューがずらり

写真・栗林成城 文・下谷友康

Photographs by Shigeki KURIBAYASHI

Text by Tomoyasu SHITAYA

友人が教えてくれたレストラン『CENSU』。フランス料理をベースに、和洋中の食材やテイストを織り交ぜて提供する創作料理店だ。2021年に香港で誕生した同店は今でも行列ができる人気店。そんなお店が昨年東京にもオープンしたと聞き、心躍りながら訪問した。

ミシュラン星つきの店で修業したシェフの金須郁幸さんを中心に、若いスタッフが楽しそうに働いている姿に、フレッシュな気持ちになる。店名の“センス”には、もちろん文字どおりの意味があるが、“第六感”や“末広がりの扇子”、そして、“みんなの才能が広がるところ”という意味も込められているらしい。

外苑前の国立競技場の近く、まだ新しい店の扉を開けると、大きなカウンターが目に飛び込んでくる。シェフズテーブルは特等席だ。2階には、大人数で楽しめる空間があり、奥にはテラス席がある。「食事は仲良しと楽しく食べるもの」。そんなお店の声が伝わってくる。

コースもあるが、“好きなものを、好きなだけ”が僕の信条なので、ここはアラカルトで頼んでみる。前菜の中からまずは「サーモンの刺身」を。鮭の魚醤ベースのソースで、刺身の下には薄くXO醤が。そして、最後にチリオイルでアクセントをつけている。

臭みのまったくないノルウェーサーモンは、女性に大人気だそう。とにかく金須シェフの発想力が素晴らしく、多くの料理にびっくりすること間違いない。

「今月の一皿」に選んだのは、「海南チキンパエリア」。見た目のインパクトは物凄いが、中身はもっと凄い。

鳥取県から取り寄せる「美桜鳥」をソミュール液につけてマリネした後に、3日間冷蔵庫でドライエイジングすることで中はジュワーッと、外はパリッパリに仕上がっていて、病みつきになる美味しさだ。お好みでネギソースをつけながら、ここは豪快にかぶりつきたい。

そして「CENSU CHEESE BURGER?」という名の春巻きは、目を瞑って食べるとまさにチーズバーガーだ。春巻きの皮がバンズの感じ。そして、レタスでくるんで食べてほしい。ほかにも「キャラメルコーン」はぜひ推薦したいし、オーガニックのワインもなかなかの“センス”がある。

日本ならではの素材を生かしつつ、フレンチ、イタリアン、和、アジアのコラボは、創作という言葉ではなく、独特の世界観を感じるのである。

CENSU TOKYO

金須シェフおすすめの「海南チキンパエリア」(4,880円)はシェアして締めでいただくのにぴったりの一皿。ネーミングからは想像できないプレゼンテーションでシェフの遊び心を感じさせる「CENSU CHEESE BURGER?」(980円)、オリジナリティの高い「サーモンの刺身」(1,580円)のほか、メニューには驚きがたくさん隠れている。*すべて税込。

住所:東京都渋谷区神宮前2-12-9

電話:03-6434-5883

営業時間:18:00~23:00(22:00L.O.)

定休日:日曜

*ご紹介したメニュー等は取材時のもので、季節によって変更となる可能性があります。事前にお店にご確認ください。

*掲載情報は2024年4月号掲載時点のものです。

Recommends

会員誌『SIGNATURE』電子ブック版 ライブラリ
会員誌『SIGNATURE』電子ブック版 ライブラリ

電子ブック閲覧方法はこちら

下谷友康さんが綴るコラム【今月の一皿】。今回は「センスが光るメニューがずらり」。