今月の一皿
かなりユニークな店

写真・永田忠彦 文・下谷友康

Photographs by Tadahiko NAGATA

Text by Tomoyasu SHITAYA

その昔、六本木にあった伝説の店『マックロウ』や西麻布の『ジョンカナヤ』。当時、どちらも大先輩のご相伴にあずかり、素敵なディナーをいただいた記憶が鮮明に残っている。
店の方も自然に客を選び、客も自らが相応しいと認めた紳士淑女が集う、“本当の大人の遊び場”だった。まだインターネット検索もできない時代、人づての紹介のみならではのコミュニティがあった頃の話だ。

同じように元赤坂で有名だった『カナユニ』。1966年にオープンしたこの店は、2016年にその50年の歴史に幕を閉じた。素晴らしい名店が、また一つなくなってしまったと、残念に思っていた。
ところがそれから時が過ぎた昨年の暮れ、敬愛する方からディナーに誘われたのが、なんと新『カナユニ』。場所を南青山に移し、初代オーナーの横田宏さんの息子の誠さんが復活させたのだ。テーブルも椅子も、もちろんピアノも当時のまま。おまけに元赤坂時代の入口の扉までが、壁に埋め込まれている。
変わらぬサロンのような雰囲気は、復活後も健在だ。

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ユニークなのはメニュー。スタミナをつけたい方、噛むのが面倒な方、もうちょっと太りたい方など、見ているだけで楽しくなる。まずは、絶対に頼まなくてはいけない「オニオングラタンスープ」。じっくりと炒めた甘みのある玉ねぎがしっかりと溶け込んで、香ばしい香りが食欲をそそる。2つ目の定番「タルタルステーキ」は、目の前で横田さんが仕上げてくれる。なんと昭和55年に作り方を特許出願した逸品だ。そして、ウニの共殻焼き。ウニとエビのすり身の“共演”は、つまみにぴったりだ。
気がつくと、ミュージシャンによる生演奏が始まり、大人の夜の時間が流れる。

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食事も終わったちょうどいいタイミングで、「レモンチェロでもどうですか?」と横田さん。天性の接客術は父親譲りなのだろう、いつもいいタイミングで話しかけてくれる。そのレモンチェロは、元赤坂時代のバーテンの武居永治さんと常連客とで、3年かけて創り出したもの。試行錯誤の後にラムを使うことに辿り着いたという。甘さ控えめでキリッと冷えたレモンチェロ、ぜひ、食後にお試しあれ。

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何をとっても“かなりユニークな『カナユニ』”。ここが似合う洒落た大人に、早くなりたいものだ。

レストラン カナユニ

「ウニの共殻焼き」(2,900円)は、最初のつまみに。開店からのベストセラー「オニオングラタンスープ」(1,300円)とタルタルステーキ(3,900円)は、初めての方にはぜひともお試しいただきたい味。食後には、『カナユニ』の歴史が刻まれたオリジナルのレモンチェロ(1杯1,600円)を。*価格はすべて税・サービス料抜き、別途、音楽チャージ(2,000~2,500円)あり。

住所:東京都港区南青山4-1-15 アルテカベルテプラザB1F

電話:03-3404-4776

営業時間:17:00~24:00

定休日:日曜・祝日

  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

*掲載情報は2020年6月号掲載時点のものです。

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