今月の一皿

超希少・北海道YAZAWA BEEF

写真・栗林成城 文・下谷友康

Photographs by Shigeki KURIBAYASHI

Text by Tomoyasu SHITAYA

1か月で6頭しか出荷されないという超希少な肉を、備長炭と薪で1時間じっくりと焼き上げる。これからの季節、ますます美味しくなる白トリュフやカニの前菜をいただきながら、焼き上がりを待つ時間も楽しい

再開発がまた進んでいる白金高輪エリアには、ちょっと洒落た小さなお店がたくさんあってうらやましい限りだ。そして、最近また、新しいお店が現れた。それが『Steak Bostro』だ。

ご縁があって紹介された肉のレストランだ。とはいえ、肉のオンパレードではない。野菜や魚など、旬の素材をとても贅沢に使った料理、そして食事の時間と空間をゆったりと楽しめる大人の隠れ家だ。

実はこのお店、入り口は道路に面しているのにわかりにくいというか、扉が開けにくい。うまく言葉で説明できないので、ぜひ直接体験してほしい。

店内に入ると重厚なカウンターがやさしく迎えてくれる。限定6席の特等席だ。奥には落ち着いた個室もあるが、相撲の砂被りのように迫力あるカウンターが僕のお勧めだ。シェフの井上裕二さんとマネージャーでソムリエの山口大樹さんのコンビがおもしろく、時に一緒に参加してくれる雑談が楽しい。

「今月の一皿」は、迷うことなく看板メニューの黒毛和牛のシャトーブリアンとイチボだ。共に独自に育てた「北海道YAZAWA BEEF」で、約1時間かけて備長炭と薪で焼き上げる。シャトーブリアンはくどいイメージもあるが、餌や肥育方法にこだわり続けた結果、あっさりとした口どけの良い肉になっている。

「焼き上げる過程を見ていただきながら、ほかのお料理も楽しんでいただきたい」と井上シェフ。この時期だけのアルバ産白トリュフを削りかけた「オーバーインカミーチャ(服を着た卵)」も絶品だ。店中に白トリュフの香りが舞い、ワインが進む。

ところで同店では、事前予約が必要だが、お土産にシャトーブリアンのサンドウィッチをつくってくれる。お値段は張るが、やわらかい雌牛の肉を、上質なオリーブオイルをかけて焼いたフィレンツェの伝統的なパンではさむサンドウィッチは一度は味わってみてほしい。

お店での時間をとことん楽しんで、というスタッフの心意気が突き刺さる『Steak Bostro』へ、急げ!

Steak Bostro

紹介した「シャトーブリアンとイチボ」「オーバーインカミーチャ」、写真の「ズワイガニのフラン」などが提供される、おまかせコースは42,000円~45,000円。アルバ産の白トリュフのコース(3皿75,000円 6皿100,000円)なども好評とのこと。ワインの種類も豊富だが、ワインペアリング28,000円もお勧めだ。要予約のシャトーブリアンのサンドウィッチは22,000円。すべて税込。

住所:東京都港区白金1-6-1 1F

電話:03-3445-0029

営業時間:17:30~23:00(20:00L.O.)

定休日:不定休
*12月26日(木)~2025年2月末まで休業予定。

*ご紹介したメニュー等は取材時のもので、季節によって変更となる可能性があります。事前にお店にご確認ください。

*掲載情報は2024年12月号掲載時点のものです。

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下谷友康さんが綴るコラム【今月の一皿】。今回は「超希少・北海道YAZAWA BEEF」。