今月の一皿
和風ふかひれ、魅惑の味

写真・永田忠彦 文・下谷友康

Photographs by Tadahiko NAGATA

Text by Tomoyasu SHITAYA

年末から新年と、いつにも増して夜が忙しくなりだす。大人の街・銀座には星の数ほどレストランがあるが、この時期は特ににぎやかだ。そんな中で僕の最近のお気に入りは、高級日本料理の代表格ともいえる『吉兆』の銀座店だ。

華やかなネオンを背にエレベーターで上階へ。扉が開くと、静けさと清らかさに包まれた背筋がピンと伸びる空間が待っている。黒御影石の飛び石が続く廊下から、もう “吉兆の世界”なのだ。大きな看板は歴史と伝統をみごとに表現し、その奥にあるワインセラーや素晴らしい掛け軸など、和モダンの趣向が凝らされている。これこそが、社長の湯木俊治さんが目指す “日本料理の新しい表現”だ。

gourmet_vol03_main

「今月の一皿」には、そんな想いが込められた「ふかひれ姿煮ご飯」を。もう名前からして期待値200パーセントだが、蓋を外したその瞬間、まずはふかひれのボリュームに圧倒される。姿煮がどーんと、丼からはみ出してきそうだ。宮城県気仙沼の上質なふかひれを乾燥から戻した状態で仕入れ、さらに数回に分けてお湯で戻し、臭みを取っているとのこと。「味だけでなく食感も楽しんでください」と、齊藤基晴料理長。

gourmet_vol03_sub_01
gourmet_vol03_sub_02

一口食べて驚くのは、いつも食べる中華のそれとは違うところ。理由は、ふかひれがスッポンの出汁で炊いてあるから。ふかひれを中華の食材と決め込むことなく、和食に取り入れるというイノベーティブな感性は、日本料理の伝統を世界に発信したいというこの店の姿勢の表れだと思う。ふかひれと白米との間には、もち米を揚げたサクサクのあられが潜んでいて、白米とふかひれでトリプルハーモニーを奏でる。これが素晴らしいの一言だ。

gourmet_vol03_sub_03
gourmet_vol03_sub_04
gourmet_vol03_sub_05

銀座吉兆

絶品の「ふかひれ姿煮ご飯」は、昼と夜の懐石コースの鶴(37,800円)と吉兆(要予約・48,600円)、もしくは昼の「ふかひれ姿煮ご飯御膳」(10,800円)でいただける。懐石コースの亀(27,000円)に追加料金(5,400円)でいただくことも可能。※すべて税込み・サ別

住所:東京都中央区銀座2-6-12 大倉本館4階

電話:03-3535-1177

営業時間:ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)、

ディナー17:30~22:00(L.O.20:00)

年中無休(年末年始については要確認)

*掲載情報は2019年1&2月号掲載時点のものです。

Recommends

会員誌『SIGNATURE』電子ブック版 ライブラリ
会員誌『SIGNATURE』電子ブック版 ライブラリ

電子ブック閲覧方法はこちら