今月の一皿

バター香る、ドーバーソールのムニエル

写真・栗林成城 文・下谷友康

Photographs by Shigeki KURIBAYASHI

Text by Tomoyasu SHITAYA

厚切りローストビーフで人気の店の新メニュー。ドーバー海峡で栄養たっぷりに育った舌平目をバターの香りと共に

30年くらい前、インターネットもグルメガイドもない時代。カリフォルニアに旅行した際にふと立ち寄った店が『ロウリーズ・ザ・プライムリブ』だった。

分不相応の店に飛び込んだわけだが、とにかく驚きの連続でローストビーフの概念が吹っ飛んだことを今でも鮮明に覚えている。だって、当時日本でローストビーフといったら(もしかしたら今でもそうだけど)薄いものだった。それが2センチくらいの分厚さで、衝撃だった。

日本に帰ってきてからもその味が忘れられなかったところ、なんと2001年に赤坂に日本1号店がオープンした。しかも仲良しの幼馴染による経営だった。

時は進むが、今春イギリスに行った時、尊敬する先輩に「ドーバーソールを食べてきなさい」と言われた。それは舌平目の中でも別格な高級魚で、ドーバー海峡で獲れるもののこと。速い潮流と豊富なエサが「海の女王」とされる舌平目を育てる。そのムニエルは絶品だった。

なんとご縁は続き、そのドーバーソールを新たな目玉とし、『ロウリーズ・ザ・プライムリブ 恵比寿ガーデンプレイス店』はこの秋、新たにスタートを切った。店内に入ると、落ち着いたライティングやヴィンテージ調のインテリアなど、温かな家に招かれたようだ。

この日は大きめのプライムリブのローストビーフを頼んでシェアすることに。カットの大きさが選べるので、年配者や女性でも柔らかなローストビーフを本来の厚みで味わえるのがいい。

今月の一皿には「ドーバーソールのムニエル」を。フランスから毎週空輸される、少し熟成したドーバーソールをバターでムニエル。ふっくらとした身は口の中で溶けていく。バターソースは少し甘みもあり、とても上品でワインとも良くあう。

そのほかにも肉々しさが残る粗目の仕上がりの「ダブル和牛バーガー」、目の前で仕上げられるカルボナーラなど、気になるメニューがずらりと並ぶ。

左:支配人 橋本彩氏 右:統括料理長 中村文彦氏

たまにはこの店でローストビーフを食べない日があってもおもしろいかもしれない。豊富なワインと共に、わいわいがやがやと楽しい夜を。

ロウリーズ・ザ・プライムリブ 恵比寿ガーデンプレイス店

日本ではなかなかお目にかかることのない「ドーバーソールのムニエル」(時価)は必食の一皿。お店自慢のローストビーフ「クラシック プライム リブ」は、好みのカットを選べる。ロウリーカット(300g、12,000円)、カリフォルニアカット(180g、8,000円)など(いずれもヨークシャープディング付き)。ボリュームたっぷりのダブル和牛バーガー(240g、3,200円)もおすすめだ。*すべて税込

住所:東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワーB2F

電話:03-5488-8088

営業時間:平日ランチ11:30~15:00(14:00L.O.)、ディナー17:00~22:00(21:00L.O.)、土日曜ランチ11:00~15:00(14:00L.O.)、ディナー17:00~22:00(21:00L.O.)

定休日:不定休

*ご紹介したメニュー等は取材時のもので、季節によって変更となる可能性があります。事前にお店にご確認ください。

*掲載情報は2025年1&2月号掲載時点のものです。

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下谷友康さんが綴るコラム【今月の一皿】。今回は「バター香る、ドーバーソールのムニエル」。