今月の一皿

「マイタイ」の誕生秘話とは?

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

Photographs by Masahiro OKAMURA(Crossover)

Text by Tomoyasu SHITAYA

「トロピカルカクテルの女王」と呼ばれ、世界中の人々から愛される「マイタイ」。なんとその発祥の店の支店が東京にある。エキゾチックな店内でリゾート気分を味わいながら、美酒美食を楽しみたい

『トレーダーヴィックス 東京』。みなさんは赤坂見附駅からほど近くの紀尾井町にあるこのお店をご存じだろうか?

異国情緒溢れるというか、エレベーターを降りた瞬間から「ここはどこ?」となること間違いない。わくわくしながら薄暗い廊下を歩いていくと、左右には魅惑的な工芸品が所狭しと飾られている。

バーを抜けると大きな薪窯があり、気分が自然と上がる。そしてダイニングだ。トンガの手描きのタパクロスが飾られた室内には、フィジーやニュージーランドの手作りのティキ像が置かれ、天井からは大きなアウトリガーが吊り下げられている。この雰囲気は絶対にここにしかない。

なるほど、バーにもダイニングにも外国人が多いのもうなずける。ここはまるでポリネシアのリゾートのようだ。

今月の一皿に選んだのは「マイタイ」という名のカクテルだ!ここでカクテルを選んだのには訳がある。

実はカリフォルニアにある本店は、世界中で親しまれているこのカクテル発祥の地なのだ。創業者ヴィクター・バージェロンは、1944年のある日、何気なく手に取ったジャマイカ産ラムで作ったカクテルをタヒチ人の友人に飲ませたところ、タヒチ語で「MAI TAI ROA AE !(この世の物とは思えない!)」と歓喜したという。これがマイタイの誕生秘話だ。

ダークラムで作られるマイタイは、ほどよい甘みと酸味、そしてちょっと強めのラムが気持ちを晴れやかにしてくれる。

料理はあれもこれも注文したいが、メインは「仔羊のインドネシア風」を。薪窯で間接的に燻し焼き上げられた分厚い仔羊はとてもジューシー。焦げ臭さがまったくなく、素材の香りも十分に楽しめる一皿。定番の「ボンゴボンゴ」とは、牡蠣とほうれん草のクリームスープ。シルクのようにきめこまやかな舌触りだ。

左:総支配人 カリム・ベルグナウィ氏 右:料理長 濵田正人氏

総支配人のカリム・ベルグナウィさんも料理長の濵田正人さんも、とってもフレンドリー。話していると楽しくて時間を忘れてしまう。メニューを眺めると地中海、中東、アジアと、各国のエキゾチックな料理を上手く融合させているのがわかる。バーだけの利用も可能で、「ビーフチョーチョー」といった面白いおつまみもある。

マイタイの生まれ故郷ともいえる場所で、バラエティ豊かなカクテルと、東洋と西洋が融合した料理を味わってみてはいかがだろう。

トレーダーヴィックス 東京

創業者ヴィクター・バージェロンは、実に200種類以上のカクテルを考案したという。この店で飲む「オリジナルタイ」(2,200円)は格別な味。牡蠣とほうれん草のクリームスープ「ボンゴボンゴ」(2,400円)。「仔羊のインドネシア風」(9,000円)。友達や家族でワイワイとテーブルを囲みたくなる店だ。*価格はすべて税込。

住所:東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ ガーデンタワー4F

電話:03-3265-4707

営業時間:ランチ平日11:30~14:30、ビュッフェ土日曜・祝日11:30~15:00(最終入場14:30)、ディナー17:00~22:00(L.O.20:30)*バーの営業時間は異なります。

定休日:月曜(祝日の場合は営業)

*ご紹介したメニュー等は取材時のもので、季節によって内容が変更となる可能性があります。事前にお店にご確認ください。

*掲載情報は2025年5月号掲載時点のものです。

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下谷友康さんが綴るコラム【今月の一皿】。今回は「「マイタイ」の誕生秘話とは?」。