今月の一皿

イタリアのご馳走を
みんなで

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

Photographs by Masahiro OKAMURA(CROSSOVER)

Text by Tomoyasu SHITAYA

店名はイタリア語で、ご馳走!

その名のとおり、イタリア各地の郷土料理をアラカルトで。親しい仲間とワイワイ囲む、楽しい食卓が待っている

東京の麻布十番の商店街は元気だ。ひっきりなしに人と車が行きかい、たくさんのお店が並んでいる。そして毎年8月に行われる麻布十番の夏祭も有名だ。江戸時代から続く温かい人情の街でありながら、元麻布や白金台などという洗練された場所が近いことも独特の魅力だろう。『トラットリア ケ パッキア』は、この街の中心にあるビルの中で16年も続くレストランだ。

エレベーターを降りてテラスを通り、店内に入ると、黄色いクロスがかかったテーブルがいっぱいに広がっていて、まるでひまわり畑のように明るく楽しい気分になる。トスカーナの家庭をイメージした空間は木の温もりを感じさせ、美食の時がいよいよ始まると、期待が高まる。

メニューも豊富で魅力的な品々が並ぶが、酒井辰也シェフの創り出す一皿一皿はどれも季節の素材を活かしたていねいな料理だ。この日もまずは「冷菜の盛り合わせ」をオーダーする。アナゴや甘エビ、アジ、アワビなど、素材だけ見たらまるで寿司店だが、カルパッチョだったり、肝ソースで和えたアワビであったり、そこはスターターとしてしっかりとバランスよく〝泡〟とマッチするように仕上がっている。

「今月の一皿」に選んだのは「タマゴのスフレ トリュフがけ」。どっしりとお皿にのってくる一品は、一瞬「デザート?」と思う。酒井シェフ自慢のそれは、修業先のイタリアから持ち帰って改良したもの。香り豊かなトリュフとパルミジャーノソースをかき分け、ふわっふわの卵白にそっとナイフを入れると、トロ~ッと卵黄が流れ出てくる。これはもはや反則だ。

そして「タヤリン 仔牛のラグー ピエモンテ風」で使われるパスタは、千切りのように手切りした極細麺だ。乾麺と生麺のちょうど中間くらいでミートソースによく絡まり、脂の少ない仔牛独特の軽い味わいになっている。

シェフ 酒井 辰也

黒板には本日のおすすめが並ぶが、定番メニューにもたくさんの料理があり、いつも迷ってしまう。コース料理もあるがアラカルト主体なので、しっかり食べるのもよし、遅めに訪問してワインとパスタだけでもよしと、とても使い勝手がいい。ファミリー客が多いのも頷ける。ワインのチョイスに困ったら、山口マネージャーに相談すれば間違いないことを、追記しておこう。

トラットリア ケ パッキア

訪れるお客さんのほとんどが注文するというお店の名物「タマゴのスフレ トリュフがけ」は、季節によってトリュフの種類が変わる。写真は黒トリュフがけ(5,500円)。毎日豊洲から仕入れる新鮮な魚介を使った「冷菜の盛り合わせ」(2人前5,280円)。極細く手切りした「タヤリン 仔牛のラグー ピエモンテ風」(2,860円)。 *共に税込。

住所:東京都港区麻布十番2-5-1 マニヴィアビル4F

電話:03-6438-1185

営業時間:17:00~翌1:00

定休日:日曜、祝日の月曜

*メニュー等は取材時のもので、季節によって変更となる可能性があります。
事前にお店にご確認ください。

*掲載情報は2026年10月号掲載時点のものです。

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下谷友康さんが綴るコラム【今月の一皿】。今回は「イタリアのご馳走をみんなで」。